サラブレッドの三大始祖とは?|すべての競走馬の原点

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競馬の世界で「サラブレッドの三大始祖」と呼ばれる3頭の種牡馬がいます。彼らは17〜18世紀のイギリスに輸入されたアラブ系の馬で、後に交配を重ねることで「スピードと持久力を兼ね備えた競走馬」、つまりサラブレッドの礎を築きました。

その三大始祖とは、

  • ダーレーアラビアン(Darley Arabian)
  • ゴドルフィンアラビアン(Godolphin Arabian)
  • バイアリーターク(Byerley Turk)

現代のすべてのサラブレッドは、この3頭のいずれかの血を受け継いでいます。そして、そのうち約9割以上が「ダーレーアラビアン系統」に属しており、今日の競馬界の主流を形成しています。


🏇 ダーレーアラビアン|現代競馬の主流を築いたスピード血統

三大始祖の中でも最も影響力が大きいのがダーレーアラビアンです。1704年頃、シリア地方からイギリスに渡り、トマス・ダーレー氏によって所有されたことからこの名がつきました。

彼の子孫である「エクリプス(Eclipse)」が18世紀の競馬を席巻し、その血が爆発的に広がります。現在では、世界のサラブレッドの9割以上がこの系統に属しており、スピードと瞬発力の象徴とされています。

日本競馬でも、この血統が絶対的な主流です。代表的な系譜としては、

  • サンデーサイレンス(アメリカ産、種牡馬として日本に輸入)
  • その子であるディープインパクトハーツクライステイゴールド
  • さらに孫世代のキタサンブラックイクイノックスなど

このように、日本の芝競馬を支配しているほとんどの名馬がダーレーアラビアンの血統を受け継いでいます。特徴はなんといっても鋭い末脚(瞬発力)。軽い芝、速い上がりを得意とするタイプが多く、日本の競馬スタイルに非常にマッチしています。


🏇 ゴドルフィンアラビアン|持久力としぶとさの象徴

ゴドルフィンアラビアンは、もともと北アフリカ原産のアラブ系の馬で、フランスを経てイギリスに渡り、フランシス・ゴドルフィン伯爵のもとで繁殖に使われました。伯爵の名を取って「ゴドルフィンアラビアン」と呼ばれます。

この血統の特徴はスタミナと持続力。欧州では長距離戦に強く、粘り強いタイプを多く輩出しました。派手さはないものの、力強く、重馬場や坂のあるコースでも崩れにくいのが魅力です。

日本ではゴドルフィンアラビアンの血は主流ではありませんが、影響はしっかりと残っています。例えば、メジロマックイーンマンハッタンカフェといった持久力型の名馬の血統には、母系や遠い世代にこの系統の要素が含まれています。

長距離の「菊花賞」や「天皇賞・春」で粘り強さを見せるタイプの馬には、しばしばゴドルフィン系の要素が息づいています。地味ながらも“スタミナの源泉”として、血統の奥に確かな存在感を残しています。


🏇 バイアリーターク|勇気と根性を伝えるもう一つの血

バイアリータークは三大始祖の中で最も古く、そして現代ではもっとも希少な系統です。17世紀末、トルコ遠征に参加していたイギリス軍士官バイアリー大尉が戦利品として持ち帰った馬で、その名が由来となりました。

バイアリータークの代表的な子孫は、18世紀の名種牡馬ヘロド(Herod)。彼の血は一時期ヨーロッパで大きく広がり、19世紀にはイギリス競馬界でも勢力を築きました。

しかし20世紀以降は血脈が次第に衰退し、現代では直系の馬はごくわずかです。アメリカやフランスでかろうじて系統を保つ馬が存在するものの、主流血統としてはほぼ消滅しています。

日本競馬では、バイアリーターク直系の馬はほぼ存在しません。ただし、ヘロド系の名残を遠い世代に持つ血統がわずかに確認されており、血統の歴史を辿ると「勇敢さ・粘り強さ」といった特性は、今も母系の奥深くに息づいています。

彼らは血統表上で見るとごく小さな存在ですが、サラブレッド史の重要な一角を担った“もうひとつの祖”として記憶されています。


🌍 現代に受け継がれる三大始祖の血

今日の競馬界では、ダーレーアラビアンの血が圧倒的多数を占めています。しかし、ゴドルフィンアラビアンやバイアリータークの血も、完全に消えたわけではありません。母系や遠い世代をたどると、彼らの特徴が今も息づいていることが分かります。

たとえば、スピード型のディープインパクト産駒でも、母方にスタミナ型の血が入ると中距離・長距離に対応できるように、血のバランスが競走馬の適性を形づくっているのです。

つまり、「スピードのダーレーアラビアン」「スタミナのゴドルフィンアラビアン」「闘志のバイアリーターク」。この3つの要素が何世代にもわたって混ざり合うことで、それぞれ個性豊かなサラブレッドが誕生しています。


🐴 まとめ|血統を知れば競馬がもっと面白くなる

サラブレッドの三大始祖は、単なる歴史上の存在ではなく、今も現役馬たちの走りの中に息づいています。ディープインパクト、イクイノックス、オルフェーヴルといった名馬たちの血をたどると、必ずダーレーアラビアンに行き着きます。

血統を学ぶことは、レースを“血のドラマ”として味わうことでもあります。 「なぜこの馬は速いのか」「どんな距離が得意なのか」――その答えは、三大始祖から続く血の物語の中に隠されています。

あなたが応援する一頭にも、遠い昔のアラブの地から受け継がれた情熱とスピードが流れているのです。

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