〖回顧〗チャンピオンズカップ2025|ダブルハートボンドが牝馬10年ぶりV、本命ナルカミは“テンション負け”の13着

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〖回顧〗チャンピオンズカップ2025|ダブルハートボンドが牝馬10年ぶりV、本命ナルカミは“テンション負け”の13着

レース名:チャンピオンズカップ(GⅠ)
日程:2025年12月7日(日)中京11R 15:40発走
コース:中京・ダート1800m(左)
馬場状態:良
勝ち時計:1分50秒2

2025年のチャンピオンズカップは、ダブルハートボンド(牝4・坂井瑠星騎手)
ウィルソンテソーロとの激しい叩き合いをハナ差で制してGⅠ初制覇。
勝ち時計は1分50秒2で、2着ウィルソンテソーロ、3着ラムジェットという決着でした。

牝馬のチャンピオンズC制覇は10年ぶり2頭目で、鞍上の坂井瑠星騎手は
このレース史上初の3連覇という快挙。
一方で、当ブログが本命に据えた3歳ダート王ナルカミは、
4番手先行から直線で失速して13着と大敗。
レース後の戸崎騎手は「跨ってから馬場入場までの感じがいつもと違っていて、テンションが高かった
スタートで後肢の踏ん張りがなく、後肢を落とすような感じで出負けした」とコメントしており、
能力負けというより“レース前からテンション&スタートでつまずいた一戦”と見るべき内容でした。


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1. レース結果と当ブログの予想印の答え合わせ

1-1. 上位着順&主要馬の結果

着順 枠番 馬番 馬名 性齢 騎手 タイム(差) 通過順 上がり3F 人気
1着 1枠 2番 ダブルハートボンド 牝4 坂井瑠星 1:50.2 ②-③-③-③ 37.1 3人気
2着 4枠 8番 ウィルソンテソーロ 牡6 川田将雅 ハナ ⑩-⑨-⑥-⑥ 36.8 2人気
3着 4枠 7番 ラムジェット 牡4 三浦皇成 2 1/2 ⑫-⑫-⑩-⑪ 36.9 7人気
5着 5枠 9番 アウトレンジ 牡5 松山弘平 2 1/2 ⑤-⑤-⑥-⑥ 37.6 4人気
13着 6枠 12番 ナルカミ 牡3 戸崎圭太 2.4秒差 ④-④-④-④ 39.4 1人気

通過順・上がりともに、「前半からポジションを取りにいった馬」と「中団から脚を温存した馬」の明暗がくっきり。
なかでも、2番手から“自分の競馬”を押し通したダブルハートボンドと、
後方寄りからロスなく運んだウィルソンテソーロ&ラムジェットの走りは
この舞台にぴったり噛み合った内容でした。

1-2. 予想印との対応関係

最終予想記事では、

  • ◎ ナルカミ
  • ○ ウィルソンテソーロ
  • ▲ アウトレンジ
  • △ ダブルハートボンド
  • △ ラムジェット
  • △ シックスペンス

結果だけ見れば、△→○→△で1~3着が決まり、▲アウトレンジも5着と健闘。
馬の「拾い方」そのものは大きくズレていなかった一方で、
「どの馬を軸にするか」という一点の判断が完敗だったというレースでした。


2. ラップと位置取りから見るレースの輪郭

2-1. ラップタイムとペース

通過タイムは以下の通りでした。

  • 前半:12.8 – 10.8 – 12.2 – 12.2 – 12.3(1000m 1:00.3)
  • 後半:12.6 – 12.9 – 12.3 – 12.1(トータル 1:50.2)

前半4F48.0秒、1000m通過1:00.3と、数字上はやや速め~平均くらい。
そこから向こう正面で一息入り、ラスト4Fがじわじわと速くなるロングスパート戦でした。

結果的に、

  • 前半で無理なく好位を取りつつ
  • 3~4コーナーで加速に乗せて
  • 直線でもうひと脚を使えるかどうか

という、事前にイメージしていた
「中京ダ1800m=先行~好位からの持続力勝負」そのもののレース像でした。

2-2. 4コーナーで“前にいた馬”が素直に上位独占

4コーナー通過順を見ると、

  • 先頭:ウィリアムバローズ&シックスペンス
  • 2列目:ダブルハートボンド&ナルカミ&ハギノアレグリアス
  • そのすぐ後ろに、ウィルソンテソーロやアウトレンジ

1~3着馬はすべて4コーナーで2列目以内 or その直後のポジション
後方待機勢は、最後にそれなりに伸びてきた馬もいたものの、
この流れではさすがに届かないという展開でした。

つまり、「前半で脚を使い過ぎず、なおかつ4角で前を射程に入れていた馬」が好走し、
逆に前半からプレッシャーを受け続けた好位勢には厳しい一戦だったと言えます。


3. 本命ナルカミ 13着|“テンション&スタートでつまずいた”敗戦

3-1. レースぶりの整理

ナルカミの通過順は④-④-④-④、上がり39.4秒
スタート自体は五分に見えましたが、戸崎騎手は「スタートで後肢の踏ん張りがなく、後肢を落とすような感じ」と振り返っており、
実際には軽く躓くような形で出負け気味になっていたようです。

出負けをリカバーするために促して好位の外目4番手まで取りにいき、
1~2コーナーではハナ争いの直後という、見た目には理想的にも映るポジションを確保。
しかし、3~4コーナーの勝負どころで手応えが一気に怪しくなり
直線入口ではすでに一杯。最後はズルズルと後退してしまい、2.4秒差の13着に終わりました。

3-2. レース前から“負債”を抱えていた──テンション&スタートのロス

戸崎騎手はレース後に、

  • 跨ってから馬場入場までの感じがいつもと違っていて、テンションが高かった
  • 「ゲートの中は大人しかったが、スタートで後肢の踏ん張りがなく、後肢を落とすような感じだった
  • 「きょうに関しては、レース前のところなのかなと思います」

とコメントしています。
つまり今回は、ゲートが開く前からすでに敗因を抱えた状態でのスタートだったと言えます。

返し馬の段階でテンションが高く、メンタル面でエネルギーを余計に消耗
そこからスタートで後肢が踏ん張れずに半歩遅れる→出していって好位を取りにいく、という流れで、
本来なら直線まで温存しておきたいスタミナを序盤で多めに使わされてしまった形です。

不来方賞やJDDのように、

  • 落ち着いてゲートを出て
  • じわっとハナ~好位を取り
  • 自分からロングスパートを打って押し切る

という「ナルカミの必勝パターン」からは、精神面もレース運びもかなり遠い内容でした。

3-3. 距離短縮+ペース+位置取りも“追い打ち”に

もちろん、敗因がすべて気性だけというわけではなく、
最終予想でも触れていた「JDDからの距離短縮(2000→1800m)」や、
GⅠらしい締まったペース、中京ダ1800mという舞台設定も、今回はマイナスに働いた印象です。

前半1000m1:00.3の流れで、外目4番手というポジションを取りにいったことで、
3歳馬の身には少し厳しい「前からプレッシャーを受け続ける競馬」になりました。
気性面のロスがなくても楽ではない条件で、
さらにテンション&スタートのロスが上乗せされたと考えると、
13着という着順自体はある意味で自然な結果とも言えます。

左回りについては、すでに盛岡2000mの不来方賞(JpnⅡ)を快勝しているように、
「全くダメ」というほどではなく、現状は右回り>左回りくらいのニュアンス。
今回はそれ以上に、メンタル面とレース質のギャップが大きく出た一戦だったと見ています。


4. 勝ち馬ダブルハートボンド&好走馬の評価

4-1. ダブルハートボンド|“中京ダ1800m特化”の完成形

ダブルハートボンドは、1枠2番という絶好枠からロスなく2番手に収まり、
3~4コーナーでも馬なりで先団キープ、直線でウィルソンテソーロとの叩き合いをハナ差で制覇という、
ほぼ理想的な勝ちパターンでした。

すでにJRAレコードでみやこSを制していたように、
ダ1800m×持続力勝負」という条件下での完成度は現役トップクラス。
牝馬という点で、最終予想では一歩評価を下げて△にとどめましたが、
結果的にはここを素直に対抗級に据えるべきだったと反省させられる内容でした。

4-2. ウィルソンテソーロ|“3年連続銀メダル”でも評価は上がる

ウィルソンテソーロは、中団内目で脚を溜め、
3~4コーナーでじわっと進出して最後は勝ち馬にハナ差まで迫る2着
チャンピオンズC3年連続2着という“銀メダルコレクター”ぶりですが、
中京ダ1800mにおける安定感と総合力の高さは改めて示した形です。

4-3. ラムジェット&アウトレンジ|タフローテ組の底力

ラムジェットは、今年もサウジ・ドバイ・国内GⅠとタフなローテを歩みながら、
中団後ろからしっかり伸びて3着確保
「朝イチ更新」で穴候補に挙げた通り、相手なりに走れる地力の高さを証明しました。

アウトレンジも、好位の外からしぶとく粘り5着
みやこSに続き、中京ダ1800mでの適性の高さを見せており、
今後もこの条件では引き続きマークしておきたい存在です。


5. 予想の反省点と今後へのメモ

5-1. 「ナルカミ1点張り」が失敗だった

今回の買い方は、

  • ◎ナルカミの単勝・複勝を厚く
  • 相手に○ウィルソンテソーロ&▲アウトレンジ+△3頭を広く押さえる

という、言ってしまえば「ナルカミさえ走れば当たる形」でした。

ふたを開けてみれば、

  • △ダブルハートボンド…1着
  • ○ウィルソンテソーロ…2着
  • △ラムジェット…3着
  • ▲アウトレンジ…5着

と、選んだ馬たちの方向性は合っていたのに、
一番重ねた◎だけが飛ぶ」という、馬券的には一番ツラい外れ方になりました。

反省点としては、

  • 地方Jpn1 → 古馬中央GⅠ という「格上げ挑戦の3歳馬」
  • 実績豊富な古馬たちと同じくらい、あるいはそれ以上に信頼してしまったこと

ここはもう少し、経験値の差やレース質の違いを割り引いて考えるべきだったと痛感しました。

5-2. ダブルハートボンドの“牝馬補正”の見直し

ダブルハートボンドについては、
「牝馬の分だけ最後の一押しで見劣るかもしれない」という理由で△評価としましたが、
ふたを開ければ牡馬一線級相手に真っ向勝負でハナ差先着

レース前から、

  • JRAダ1800mレコード保持
  • 中京ダ1800mで無敗
  • ロングスパート戦に強い持続力血統

と、データ的には「コース&条件に最もフィットした存在」だっただけに、
性別による先入観を少し強く見過ぎた感は否めません。

5-3. ナルカミの“買いどころ”の整理

ナルカミに関しては、今回の敗戦をもって
「やっぱり世代限定レベルだった」と切ってしまうのは早計だと考えています。

むしろ、

  • タフな2000m戦を自分から動いて押し切る形
  • ペースが極端に速くなり過ぎない展開
  • 「砂を被るストレス」より自分のリズムで走れる位置を取れるかどうか

という条件がそろえば、まだまだJDD級の怪物的パフォーマンスを見せてもおかしくない存在。
次走以降は、距離・コース・メンバー構成を改めて精査しつつ、
再度「買いどころ」を探していきたいと思います。


6. まとめ|“テンション負け”も含めて、3歳馬の現在地を知る一戦

以上、チャンピオンズカップ2025のレース回顧でした。

レース全体としては、

  • 中京ダ1800m=先行~好位の持続力勝負という事前イメージ通りの流れ
  • △ダブルハートボンド、○ウィルソンテソーロ、△ラムジェットという印を打った馬が上位独占
  • 一方で、◎ナルカミはレース前のテンション&スタートの躓きが響いて13着大敗

と、「レースの輪郭は合っていたのに、軸の選択とメンタル要素で大きく外した」典型例になりました。

それでも、こうした外れ方だからこそ見えてくるものも多く、
今後の3歳ダート路線と古馬勢の力関係を考えるうえで、
非常に示唆の多い一戦だったと感じています。

ナルカミの巻き返し、ダブルハートボンドの次のステージ、
そして「銀メダルコレクター」となったウィルソンテソーロのGⅠ制覇なるか——。
ダート中距離戦線は、まだまだ楽しみが尽きませんね。

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