〖徹底分析〗ナルカミ|雷神の名を持つ“砂の新星”はチャンピオンズカップでも主役級か

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〖徹底分析〗ナルカミ|雷神の名を持つ“砂の新星”はチャンピオンズカップでも主役級か

対象馬:ナルカミ(牡3)
父:サンダースノー 母:オムニプレゼンス(母父ディープインパクト)
馬主:ゴドルフィン/生産:ダーレー・ジャパン・ファーム(北海道門別町)
管理:田中博康厩舎(美浦)/通算成績:6戦5勝(うち重賞2勝:JpnⅠ1勝・JpnⅡ1勝)
対象レース:チャンピオンズカップ 2025(中京ダート1800m)

2025年秋のダート3歳路線で一気にスターダムに駆け上がったナルカミ
盛岡不来方賞(JpnⅡ)からジャパンダートクラシック(JpnⅠ)まで圧巻の逃げ切りで連勝し、世代トップクラスどころか、
古馬勢を脅かす存在としても注目を集めています。
本記事では、馬名の由来・レース内容・血統背景(マンデラ牝系×母父ディープ)・中京ダ1800m適性まで、
ナルカミを多角的に掘り下げていきます。


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1. プロフィールと「ナルカミ」馬名の由来

1-1. 基本プロフィール

馬名 ナルカミ(Narukami)
性齢 牡3
生年月日 2022年3月11日
生産者/産地 ダーレー・ジャパン・ファーム有限会社(北海道沙流郡門別町)
馬主 ゴドルフィン
調教師 田中博康(美浦)
サンダースノー(Thunder Snow)
オムニプレゼンス(Omnipresence)
母の父 ディープインパクト
通算成績 6戦5勝(JpnⅠ1勝・JpnⅡ1勝含む)
主な勝ち鞍 ジャパンダートクラシック(大井ダ2000m・JpnⅠ)/不来方賞(盛岡ダ2000m・JpnⅡ)
馬名の由来 鳴神(なるかみ)=雷神・雷鳴を意味する日本の古語

1-2. 「鳴神」―雷を司る神×父サンダースノーの“雷つながり”

ナルカミの馬名の由来は、登録上「鳴神」とされています。
「鳴神(なるかみ)」は日本の古語・神話に登場する表現で、雷そのもの、あるいは雷を司る神を意味する言葉です。

父はドバイ・ワールドカップなどを制した世界的ダートホースサンダースノー(Thunder Snow)
「サンダー=雷」から連想される雷つながりのネーミングであり、
雷鳴のように一瞬で相手を突き放す脚をイメージさせる、非常にセンスの良い名前と言えるでしょう。


2. レース内容で振り返るナルカミのポテンシャル

ここからは、ナルカミの6戦の内容をざっくり振り返りながら、
どのような強み・課題を持ったタイプなのかを整理していきます。

2-1. デビュー戦:京都ダ1800m 新馬戦(2024年11月・1着)

初陣は京都ダート1800mの新馬戦。坂井瑠星騎手を鞍上に、馬体重500kg前後の雄大な馬体で登場しました。
スタートからスッと先手を奪い、マイペースの逃げ。
4コーナーでも余力たっぷりの手応えからそのまま後続を突き放し、2着に約10馬身以上の大差をつけて楽勝しています。

  • スタートセンス◎
  • 先行・逃げ脚質で自分のリズムを作れる
  • ダート1800mでスタミナ・パワーともに余裕

いきなり「次元の違う勝ち方」を見せたことで、
ダート中距離での大物候補として注目を集めるきっかけになった一戦でした。

2-2. 2戦目:中京ダ1800m 3歳1勝クラス(2025年1月・7着)

中7週で臨んだ2戦目は中京ダ1800m。ここでも先手を奪う形になりましたが、
超スローペース気味に逃げたぶん、直線で一気に各馬に詰め寄られ、最後は余力を失い7着に敗退。

この一戦で見えた課題は以下の通りです。

  • スローペースに落としすぎると、自身の持ち味である持続力勝負に持ち込めない
  • 中京コース特有の長い直線で、切れ味のある差し・追い込み勢に捕まりやすい

ただし、敗因がはっきりしている分、「負けて強し」の経験とも言える内容でした。

2-3. 3〜4戦目:中山→福島で“先行押し切り”スタイルが完成

◆3戦目:中山ダ1800m 3歳1勝クラス(2025年4月・1着)

鞍上を戸崎圭太騎手にスイッチ。中山ダ1800mで2番手からの競馬。
4コーナーで早め先頭に立つと、直線でも余裕のある手応えで押し切り、2着馬に1馬身差の完勝。
このレースで、「控えても競馬ができる」「逃げ一辺倒ではない」点を証明しました。

◆4戦目:福島ダ1700m いわき特別(3歳以上2勝クラス・2025年6月・1着)

再び先手を奪い、やや緩いペースでマイペース逃げ。
直線では再度ギアを上げ、2着に5馬身差をつける圧勝劇。
小回り・コーナー4つのコース形態でも機動力と二の脚を存分に発揮しました。

この2戦で確立したのは、

  • 控えても前受けでもOKな自在性
  • 3〜4コーナーで加速して押し切るロングスパート型

という、のちの不来方賞→JDDにつながるスタイルです。

2-4. 5戦目:盛岡ダ2000m 不来方賞(JpnⅡ・1着)

初の重賞挑戦となった不来方賞(盛岡ダ2000m)でも、外枠からハナを取り切って主導権を握ります。
3〜4コーナーでペースを落とさず、直線でもしっかりと脚を使い、2着馬に2馬身半差の完勝。

注目すべきポイントは、

  • コーナーの多い盛岡2000mで終始マイペースを維持
  • 砂を被らず運べた時の集中力の高さ
  • 2000mでもスタミナに不安ゼロ

距離延長+初重賞という条件にもかかわらず、
「3歳ダート中距離では明らかに一枚上」という内容でした。

2-5. 6戦目:大井ダ2000m ジャパンダートクラシック(JpnⅠ・1着)

そして出世レースとなったジャパンダートクラシック(大井ダ2000m)
ここでもスタートからハナを奪い、緩みのないペースで隊列を引っ張ります。

直線で仕掛けられてからも二枚腰のように再加速し、
2着ナチュラルライズを3馬身差突き放す完璧な逃げ切り勝ち
3歳ダート王決定戦を制し、名実ともに世代ダート王の座を手にしました。

ここまで6戦5勝という戦績からは、

  • 自分のリズムで運べればとにかく崩れないタイプ
  • “スローに落としすぎない”ことが好走条件

という、「自分でレースを作って、最後まで押し切るスタイル」がはっきり見て取れます。


3. 血統背景:マンデラ牝系×母父ディープインパクトの“黄金配合”

3-1. 世界級牝系「マンデラファミリー」出身

母オムニプレゼンスは、ディープインパクト×ヴァレリカ(Dynaformer×Mandela)という配合。
3代母マンデラは、あの

  • ワールドエース(皐月賞2着)
  • ワールドプレミア(菊花賞・天皇賞春)
  • ヴェルトライゼンデ(日経新春杯・鳴尾記念/ジャパンC3着)

などを送り出している、いわゆる「マンデラ牝系」に属します。

ナルカミはこの超一流中長距離血統の一員であり、
近親にGⅠ級がズラリと並ぶ超良血馬です。

3-2. 「母父ディープインパクト」の旬と、サンダースノーとの相性

2020年代半ばに入ってから、母父ディープインパクトの活躍が顕著になっています。
芝ではマスカレードボールをはじめとしたGⅠ級が台頭し、
ダートでもナルカミのようにパワー型種牡馬との配合で一気に開花する例が増えています。

ディープの娘が持つ

  • しなやかさ・バネ・トップスピードの質

に対して、父サンダースノーは

  • ダート中距離の持続力とパワー
  • タフな流れに対応できる心肺機能

を伝えるタイプ。
その結果として、

  • 「柔らかいフットワークで、長く良い脚を使うダート中距離馬」

という、現代日本ダート界にど真ん中でハマるキャラクターが出来上がったと考えられます。

3-3. 血統面から見た強み・弱み

◆強み

  • マンデラ牝系由来の底力とスタミナ
  • 母父ディープ由来の機動力・反応の良さ
  • 父サンダースノー由来のダート適性と持続力

◆懸念点(あえて挙げるなら)

  • スピード一辺倒な短距離血統ではないため、極端な高速決着での瞬発力比べは未知数
  • 3歳秋の時点では完成度の高さで押し切っている側面もあり、古馬との力関係はまだ測りきれない

とはいえ、血統・レースぶりともに「芝に出ても走れて不思議ではない」ほどの総合力を備えており、
今後のローテ次第では、ダート王道+海外遠征といった夢も見られる存在です。


4. 中京ダ1800m(チャンピオンズC)適性をどう見るか

4-1. コース形態と求められる資質

チャンピオンズカップが行われる中京ダート1800mは、

  • スタート後すぐに上り坂
  • コーナー4回+最後に急坂
  • 直線は約410mと長め

というコース形態。
ここで求められるのは、

  • 1400〜1600m寄りの一瞬のキレよりも、1800〜2000m寄りの持続力
  • コーナー4つを器用に立ち回る機動力
  • ラスト1Fの急坂をもう一段ギアを上げて踏ん張る底力

まさに「マンデラ牝系×母父ディープ×サンダースノー」の持ち味が問われる舞台と言えます。

4-2. ナルカミの適性評価

◆プラス材料

  • 既に福島・盛岡・大井とコーナー4つのコースで結果を出しており、機動力は証明済み
  • 2000mで最後まで脚色が鈍らないスタミナがあり、1800mはむしろ歓迎
  • 自分でペースを作れる逃げ・先行脚質は、展開のアドバンテージを取りやすい

◆注意したいポイント

  • 2戦目の中京戦で見せたように、マイペースに落としすぎると直線で捕まるリスク
  • 古馬一線級との初対戦となれば、序盤からプレッシャーを受ける展開も想定される

したがって、チャンピオンズカップでの理想形は、

  • 前半〜中盤で“ゆるみすぎない平均ペース”を刻む
  • 3〜4コーナーで早めに後続を脱落させるロングスパート
  • 直線は「どこまで粘れるか」ではなく「どこまで突き放せるか」の勝負に持ち込む

という、ジャパンダートクラシックの再現+相手強化版のようなイメージになります。


5. 総合評価と「買いどころ」

5-1. ナルカミという馬のキャラクター

ここまでの内容をまとめると、ナルカミは

  • 自分でレースを作って押し切るタイプの“先行持続力型”
  • 2000m級でもスタミナ十分な中距離ダート巧者
  • マンデラ牝系×母父ディープ×サンダースノーという超良血+配合バランスの良さ
  • 「鳴神」という馬名通り、雷鳴のように一気に突き抜ける脚を持つ3歳ダート王

という、完成度と将来性を兼ね備えた砂の新星です。

5-2. 予想のスタンス

チャンピオンズカップという観点では、

  • 展開がハマればいきなり古馬撃破も十分ある
  • 逆に、序盤から徹底マークされてオーバーペースになると、ゴール前で甘くなるリスクもある

という、リスクとリターンがハッキリしたタイプ
特に「母父ディープ×サンダースノー×マンデラ牝系」という配合は、

  • 今後もダートGⅠだけでなく、海外遠征や種牡馬入り

まで見据えた長期的な注目価値があります。


6. まとめ|雷神の名は伊達じゃない

父サンダースノーに呼応するような「雷神」を意味する名前を与えられたナルカミ
その走りは名前負けどころか、むしろ馬名にふさわしいインパクトと破壊力を既に示しています。

「雷鳴のように一気にペースアップして、誰も近寄らせない」──。
そんな走りがもう一度、中京ダート1800mで炸裂するのか。
馬券的にも血統的にも、そして物語的にも、2025年チャンピオンズカップにおいて最重要級の一頭であることは間違いないでしょう。

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