サラブレッドの三大始祖とは?|すべての競走馬の原点

🎓 血統講座
スポンサーリンク
  1. サラブレッド三大始祖とは?|血統の“いちばん入口”をつかむ
    1. 🏇 ダーレーアラビアン|“主流”になった理由は「エクリプス」と「現代の幹」
      1. ① まずここだけ:ダーレー → エクリプス(父系の骨格)
      2. ② 現代の主流はさらに“その中の幹”へ|Phalaris(ファラリス)を押さえる
      3. ③ 日本競馬で“見える”ダーレー系|サンデー系とキンカメ系
      4. ④ 実戦の使い方|ダーレー系は“当日の要求”で刺さり方が変わる
    2. 🏇 ゴドルフィン(アラビアン/バルブ)|マッチェムへ続く“名種牡馬の系譜”
      1. ① まず押さえる:ゴドルフィンの代表的な子孫(初期の重要種牡馬)
      2. ② 父系が“残った理由”:Cade → Matchem(マッチェム)が強烈だった
      3. ③ 実戦での使い方|父系より“配合のアクセント”として見る
    3. 🏇 バイアリーターク|“希少でも消えない”父系ロマン。鍵はヘロドと日本のパーソロン
      1. ① まずここだけ:Byerley Turk → Herod(ヘロド)までの流れ
      2. ② ヘロドの最盛期|Highflyer(ハイフライヤー)など“時代の王”を出した
      3. ③ どうして希少になった?|「強い父系」でも途切れるのがサイアーライン
      4. ④ 日本でのキーマン:パーソロン(Partholon)で“バイアリーの血”が身近になる
      5. ⑤ メジロの系譜が分かりやすい見本|パーソロン→メジロアサマ→メジロティターン→メジロマックイーン
    4. 🌍 三大始祖は「父系の入口」|血統は“線”と“面”で見ると面白い
    5. 🐴 まとめ|三大始祖を知ると、競馬は“ドラマ”として見える

サラブレッド三大始祖とは?|血統の“いちばん入口”をつかむ

競馬の血統でよく出てくる「サラブレッドの三大始祖(Three Foundation Sires)」は、直系父系(父→父→父…/尾花・tail-male)を遡ったときに行き着く3頭の種牡馬を指します。

誤解しやすいポイント

三大始祖は「血の成分が3頭だけ」という意味ではなく、父系の“線”の話。能力は父系だけで決まらず、母父・牝系・配合バランスで表情が変わります。

その三大始祖とは、

  • ダーレーアラビアン(Darley Arabian)
  • ゴドルフィン(アラビアン/バルブ表記あり)(Godolphin Arabian / Godolphin Barb)
  • バイアリーターク(Byerley Turk)

図:三大始祖 → 代表的な直系父系(尾花)の入口(簡易)

血統解説で頻出する「三大父系名」は、三大始祖からの代表的な入口として エクリプス系/マッチェム系/ヘロド系 がセットで語られます。

Darley Arabian ダーレーアラビアン(三大始祖) 父系:主流側
Eclipse エクリプス(父系名の入口)
Godolphin (Arabian/Barb) ゴドルフィン(三大始祖) 呼称に諸説
Matchem マッチェム(父系名の入口)
Byerley Turk バイアリーターク(三大始祖) 父系:希少側
Herod ヘロド(父系名の入口)

※この図は「ざっくり地図」です。競走能力は父系だけでなく、母父・牝系・配合で表情が変わります。

(簡易図)三大始祖 → Eclipse / Matchem / Herod への“入口”を見える化。

🏇 ダーレーアラビアン|“主流”になった理由は「エクリプス」と「現代の幹」

三大始祖の中で、現代の直系父系(尾花)において圧倒的な主流になったのがダーレーアラビアンです。
ざっくり言うと、父系の入口となったエクリプス(Eclipse)が“強すぎた”のがすべての始まり。エクリプスの父系はダーレーへつながり、そこから世界の父系史が動きました。

① まずここだけ:ダーレー → エクリプス(父系の骨格)

エクリプスは直系父系で辿ると、Darley Arabian → Bartlett’s Childers → Squirt → Marske → Eclipseの流れに位置します。
さらに面白いのが、エクリプスの母がSpilletta(※Spiletta表記もあり)で、父がRegulus(=ゴドルフィン系)である点。つまりエクリプスは「父系はダーレー」「母側にゴドルフィンの影」もある、血統史の象徴的存在です。

(読み飛ばしOK)なぜエクリプスは“入口”として語られる?

エクリプスは競走成績だけでなく、種牡馬としても“父の父の父…”が続く「サイアー・オブ・サイアーズ」になったため、 父系史の話をするときに「エクリプス系」という大きな看板で語られます。

② 現代の主流はさらに“その中の幹”へ|Phalaris(ファラリス)を押さえる

「エクリプス系が主流」と言っても、現代の父系史でさらに強く意識されるのは、その中の幹になったPhalaris(ファラリス)の存在です。
Phalarisの子孫からは、ざっくり言うと
Nearco(→ Northern Dancer や Sunday Silence 方面)Sickle(→ Native Dancer → Mr. Prospector 方面)のように、世界の主流枝が伸びていきました。
つまり「主流の父系=ダーレー〜エクリプス」だけでなく、その“中の幹”としてPhalarisを押さえると、血統表の見え方が一気に整理できます。

ここが実戦的:「ダーレー系だから買い」ではなく、血統表の“上の太い幹”が同じでも、枝(分岐)と母側で勝ち方が変わる、という視点がブレません。

③ 日本競馬で“見える”ダーレー系|サンデー系とキンカメ系

日本競馬の血統表で分かりやすいのは、同じ主流父系(ダーレー〜エクリプス系)の中でも、サンデーサイレンス系キングカメハメハ系で“勝ち方の色”が違って見えることです。

  • サンデー系:瞬発力・反応の速さが武器になりやすい(ただし母側で持続・パワーに寄ることも多い)。
  • キンカメ系:トップスピードの維持・パワー対応が強みになりやすい(ただし母側で切れ味に寄ることもある)。

※この手の“傾向”は便利ですが、言い切りは危険。最後は「当日の勝負タイプ」と「母父・牝系」で必ず微調整するのが外しにくいです。

④ 実戦の使い方|ダーレー系は“当日の要求”で刺さり方が変わる

ダーレー系は「主流」なので、該当馬が多くて“それだけでは決め手にならない”こともあります。
だからこそ、まず勝負タイプ(スロー/持続/消耗)を仮置きしてから、枝・母父・牝系を当てはめると予想がまとまります。


🏇 ゴドルフィン(アラビアン/バルブ)|マッチェムへ続く“名種牡馬の系譜”

ゴドルフィンは資料によって「Godolphin Arabian」とも「Godolphin Barb」とも表記され、来歴や呼称には諸説があります。ここでは「三大始祖の一角」として扱い、父系の入口がマッチェム(Matchem)へ繋がる、という実用的な理解でOKです。

ここが読みどころ:ゴドルフィン系は「現代の主流父系」ではない一方、途中までは超一流の父系として繁栄し、名馬・名種牡馬を何頭も連ねました。

① まず押さえる:ゴドルフィンの代表的な子孫(初期の重要種牡馬)

ゴドルフィンの代表的な子孫(初期の重要種牡馬)としてよく挙げられるのが、Lath(ラス)Cade(ケイド)、そしてRegulus(レギュラス)です。
LathとCadeは母Roxanaの全兄弟で、特にCadeの直系がMatchem(マッチェム)へつながり、ゴドルフィン父系が後世まで残る決定打になりました。
一方のRegulusは、一般的には母Grey Robinsonとされます(※紹介文でRoxanaと混同されがちなので注意)。

② 父系が“残った理由”:Cade → Matchem(マッチェム)が強烈だった

ゴドルフィン父系が現代まで残った最大の理由は、Cade(ケイド)→ Matchem(マッチェム)のラインが、競走・繁殖の両面で「中心級」になったからです。

(1行で)ゴドルフィン父系の“入口”

Godolphin(始祖)→(代表)Cade → Matchem(マッチェム)→(以後、各国で枝分かれ)

③ 実戦での使い方|父系より“配合のアクセント”として見る

ゴドルフィン系は「父系の主役」ではないぶん、実戦では配合のアクセント(脇役として効く)になりやすい立ち位置です。
なので、父系だけで決めず、母父・牝系・当日の条件とセットで「どう噛み合うか」を見たほうがブレません。

覚え方:ゴドルフィン系は、血統表の中〜奥で効く名脇役になりやすい。


🏇 バイアリーターク|“希少でも消えない”父系ロマン。鍵はヘロドと日本のパーソロン

バイアリータークは三大始祖の中で最も古く、現代の直系父系(尾花)では希少側です。
ただし「ほぼ絶滅=価値がない」ではなく、血統史としてはむしろ“物語が濃い”系統。父系の入口となるのがヘロド(Herod)です。

① まずここだけ:Byerley Turk → Herod(ヘロド)までの流れ

バイアリータークの父系は、Jigg → Partner → Tartar → Herodという流れで“ヘロド系”を形成しました。ヘロドは当時のリーディングサイアーとして名が残り、ここから一時代を築きます。

② ヘロドの最盛期|Highflyer(ハイフライヤー)など“時代の王”を出した

ヘロドの代表的な息子として語られるのがHighflyer(ハイフライヤー)。このあたりの時代は、ヘロド系が父系の中心にいた“全盛期”です。
ただし父系は永遠ではありません。主流の分岐が変わると、どんな名門でも枝が細り、いつしか“希少側”に回っていきます。

③ どうして希少になった?|「強い父系」でも途切れるのがサイアーライン

父系(尾花)は、極端に言えば「種牡馬として息子が残り続けるか」のゲームです。
競走馬として強くても、優秀な“息子種牡馬”が出なかったり、出ても流行・配合・市場の波に乗れなかったりすると、父系は途切れます。
だから「今は希少」=「昔は弱かった」ではありません。ここを誤解しないのが血統史の面白さです。

④ 日本でのキーマン:パーソロン(Partholon)で“バイアリーの血”が身近になる

日本競馬でバイアリーターク(ヘロド系)のロマンを身近にするのが、輸入種牡馬パーソロン(Partholon)です。
パーソロンは父がMilesianで、その父がMy Babu(このラインはバイアリーターク系の“生存ルート”として語られます)。
つまり「バイアリー系の血」が、近代の日本へ現実に“運ばれてきた”存在だと捉えると分かりやすいです。

⑤ メジロの系譜が分かりやすい見本|パーソロン→メジロアサマ→メジロティターン→メジロマックイーン

パーソロンの影響を日本競馬で“1本線で見える化”するなら、メジロの系譜が分かりやすいです。

  • パーソロン
  • メジロアサマ
  • メジロティターン
  • メジロマックイーン

※この“系譜のつながり”があるから、バイアリーターク系は「日本では無関係」ではなく、むしろ血統史として語れる土台があります。

覚え方:バイアリーターク系は、主流じゃない。だからこそ「父系がつながる物語」として面白い。


🌍 三大始祖は「父系の入口」|血統は“線”と“面”で見ると面白い

三大始祖は血統を学ぶうえでの“地図の入口”です。
ただし競走能力は父系(線)だけで決まらず、母父・牝系(面)・配合バランスで大きく表情が変わります。

だからこそ血統は、「何が得意で、どんな勝負になったときに浮くか」を読む道具。
スピード要素が強い配合でも、母系にスタミナが入れば距離が延び、タフな血が入れば消耗戦で踏ん張る――血は混ざり合って個性になります。


🐴 まとめ|三大始祖を知ると、競馬は“ドラマ”として見える

三大始祖は、現代競馬の「父系の地図」を読むための入口です。
主流のダーレー系を軸に、ゴドルフィン系・バイアリーターク系のロマンが母系や配合の中で息づく――この“重なり”が血統の面白さです。

あなたが応援する一頭の血統表にも、三大始祖へ続く“線”があります。
その線を辿るだけで、レースが少し違って見えてくるはずです。

“`0
この記事が参考になったら
応援クリックお願いします!

コメント