【上原佑紀調教師とは何者か】ダービー4頭出しへ、ニシノティアモも送り込む“新世代トレーナー”の正体

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2026年春の注目厩舎
美浦・上原佑紀厩舎
ダービー4頭出しへ

【上原佑紀調教師とは何者か】ダービー4頭出しへ、ニシノティアモも送り込む“新世代トレーナー”の正体

日本ダービーに4頭を送り込む可能性を持ち、ヴィクトリアマイルにはニシノティアモを送り出す。開業からまだ数年ながら、一気に美浦の中心へ浮上してきた若き調教師・上原佑紀。その経歴を追うと、単なる“二世調教師”では片付けられない、かなり異色のキャリアが見えてくる。

結論

上原佑紀調教師は、馬術、獣医学、海外修行、名門厩舎での調教助手経験を重ねてきた、美浦の新世代トレーナーである。

父はダイワメジャーなどを手がけた上原博之調教師。血筋だけを見れば“競馬一家の後継者”だが、実際の歩みはかなり実践的だ。馬に乗れる。馬を診られる。海外の調教現場を知る。そして、開業後はクラシック路線に複数の有力馬を送り込むまでに厩舎を押し上げてきた。

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上原佑紀調教師のプロフィール

名前 上原佑紀(うえはら・ゆうき)
所属 JRA・美浦トレーニングセンター
生年月日 1990年1月29日
免許取得 2022年
厩舎開業 2023年3月
特徴 平成生まれ初のJRA調教師のひとり。獣医師、馬術経験者、海外修行経験者という複合型のキャリアを持つ。
上原博之調教師。ダイワメジャー、セイウンコウセイなどを手がけた美浦の名トレーナー。

上原佑紀調教師を語るうえで外せないのが、「平成生まれ初のJRA調教師」という肩書きである。2021年に調教師試験に合格し、2023年3月に厩舎を開業。美浦の若手調教師としてスタートしたが、わずか数年で重賞戦線、クラシック戦線の常連へと存在感を高めている。

“二世調教師”では終わらない異色の経歴

1

馬術で磨いた騎乗感覚

幼いころから馬に親しみ、学生時代は馬術にも本格的に取り組んだ。馬の背中を知っていることは、調教師として馬のフォームやバランスを見極めるうえで大きな武器になる。

2

獣医師としての視点

日本大学獣医学科を経て、美浦トレセン内の診療所で獣医師として勤務。単に調教を課すだけでなく、馬の体調や小さな変化を医学的な視点から捉えられる。

3

海外で学んだ管理術

ノーザンファーム、英国・ニューマーケット、フランスの現場などで経験を積んだ。国内の感覚だけでなく、世界基準の馬づくりを見てきた点も大きい。

上原師の面白さは、キャリアが一本線ではないところにある。競馬一家に生まれたから調教師になった、という単純な話ではない。馬術で馬に乗り、獣医師として馬を診て、海外の厩舎で馬づくりを学び、帰国後は池上昌和厩舎、堀宣行厩舎で現場経験を積んだ。

つまり、「血統背景を持つ若手」ではなく、「馬を多角的に見てきた実務型の若手」という表現の方が近い。近年の活躍は、偶然の勢いではなく、複数の現場で積み上げた経験が形になり始めたものと見るべきだろう。

ダービー4頭出しへ|なぜここまで注目されているのか

2026年春、上原佑紀厩舎の名前を一気に広めたのが、日本ダービーへの4頭出しである。クラシックの頂点である日本ダービーに、ひとつの厩舎から複数頭を送り込むだけでも難しい。ましてや開業4年目の若手厩舎が4頭をスタンバイさせる構図は、かなり異例だ。

ライヒスアドラー

皐月賞3着

皐月賞で上位に食い込んだ厩舎の中心格。世代トップ級相手に結果を出しており、ダービーでも軽視できない存在になる。

フォルテアンジェロ

皐月賞5着

皐月賞で掲示板を確保。2週前追い切りでは単走で調整され、オーバーワークを避ける意図も見える。

グリーンエナジー

皐月賞7着/京成杯勝ち馬

京成杯を制した重賞馬。皐月賞では着順以上に経験を積み、東京替わりで見直し余地を残す一頭。

ゴーイントゥスカイ

青葉賞勝ち馬

ダービートライアルの青葉賞を勝利。東京芝2400mで結果を出している点は、ダービーへ向けて大きな意味を持つ。

注目すべきは、4頭がただ数合わせで並んでいるわけではないことだ。皐月賞で上位に食い込んだ馬、重賞を勝っている馬、東京2400mのトライアルを勝った馬がそろっている。厩舎全体として、同世代のクラシック戦線に厚みを持って臨めている。

ポイントは「早熟一辺倒ではない」こと。
皐月賞型の機動力だけでなく、青葉賞を勝つような東京2400m型も抱えている。これは、厩舎の3歳馬づくりに幅があることを示している。

ニシノティアモで見せた“待つ勇気”

上原佑紀厩舎を語るうえで、ニシノティアモの存在も重要だ。2025年の福島記念を制し、牝馬重賞路線からヴィクトリアマイルへと向かう実力馬。父ドゥラメンテ、母ニシノアモーレ、母系にはニシノフラワーの流れを持つ、西山茂行オーナーゆかりの血統でもある。

ニシノティアモは、のどの違和感を抱えながらもレースで力を見せていた馬だった。陣営はすぐに無理をさせるのではなく、タイミングを見て手術と休養を選択。その後、馬自身の成長も重なり、1勝クラスから福島記念まで一気の4連勝で重賞馬へと駆け上がった。

ここに上原師らしさがある。馬を急がせるだけではなく、状態、成長、体質、オーナーとの相談、復帰後の目標設定を含めて馬を組み立てる。獣医師としての視点と、調教師としての勝負勘が重なった好例と言える。

ヴィクトリアマイル挑戦の意味

ニシノティアモにとってヴィクトリアマイルは、単なるGⅠ挑戦ではない。重賞馬としての格をさらに引き上げる舞台であり、上原佑紀厩舎にとってもGⅠタイトルへ手を伸ばす大きなチャンスになる。

東京芝1600mはスピード、持続力、折り合い、瞬発力のバランスが問われる条件。中距離でも結果を出してきたニシノティアモが、マイルの流れに対応できるか。ここは陣営の判断力も問われる一戦になる。

代表的な管理馬

馬名 主な実績 記事での見どころ
ピコチャンブラック 2025年スプリングS勝ち馬 上原佑紀厩舎に重賞タイトルをもたらした存在。クラシック路線で厩舎の名を押し上げた。
ニシノティアモ 2025年福島記念勝ち馬 のどの手術、成長、4連勝での重賞制覇という物語性を持つ牝馬。ヴィクトリアマイルでも注目。
グリーンエナジー 2026年京成杯勝ち馬 3歳クラシック路線の中心馬の一頭。皐月賞を経験し、ダービーでの巻き返しを狙う。
ゴーイントゥスカイ 2026年青葉賞勝ち馬 東京芝2400mのトライアルを制したダービー向きの存在。厩舎4頭出しの決定打になった。
ライヒスアドラー 皐月賞3着 世代トップ級相手に好走。ダービーでも厩舎の有力候補として扱いたい一頭。
フォルテアンジェロ 皐月賞5着 堅実な内容でクラシック戦線に踏みとどまる。調整過程の丁寧さにも注目。

面白いエピソード|父からの祝福、ダービーへの言葉

上原佑紀調教師の人物像を象徴するエピソードとして、調教師試験に合格した際の話がある。合格発表後、すぐに父・上原博之調教師から祝福のメッセージが届いたという。

父はダイワメジャーなどを手がけた名調教師。上原佑紀調教師にとっては父であると同時に、大舞台を知る大先輩でもある。本人も調教師としてトップを目指すこと、そして日本ダービーを勝ちたいという思いを語っていた。

その言葉から数年。2026年には、ダービーへ4頭を送り込む可能性が現実味を帯びている。かつて掲げた目標に、想像以上のスピードで近づいているのだから、物語としても非常に面白い。

獣医師らしい“馬の食べる力”へのこだわり

もうひとつ興味深いのが、馬の飼葉食いに対する意識である。調教を強めるには、まず馬がしっかり食べられることが前提になる。食べなければ体を作れず、体を作れなければ負荷をかけられない。

上原師はサプリメントの導入事例でも、食欲改善や体調管理への意識を語っている。実際に自分で口にして味を確認したという話もあり、馬のコンディションをかなり具体的に見ていることが伝わる。

上原佑紀厩舎の強みはどこにあるのか

1. 馬の状態を読む精度

獣医師経験があるため、馬体、呼吸、食欲、疲労の出方などを医学的な目線で捉えられる。ニシノティアモのように体質面の課題を抱えた馬を、時間をかけて上昇軌道に乗せる形は、その強みを感じさせる。

2. クラシックを意識したローテーション

3歳馬を早い段階から重賞、トライアル、クラシック本番へ送り込めている点は大きい。ダービー4頭出しの背景には、馬の完成度を見極めながら、それぞれに合った舞台を選んできた積み重ねがある。

3. 海外志向と柔軟な馬づくり

英国やフランスの現場を経験していることも、今後の厩舎カラーに影響していくだろう。日本の高速馬場に対応するだけでなく、将来的には海外遠征や世界を意識した馬づくりにも期待が持てる。

今後の焦点|GⅠ初制覇は近いのか

2026年春の上原佑紀厩舎は、明らかに勝負の局面に入っている。ヴィクトリアマイルのニシノティアモ、日本ダービーの4頭。いずれも簡単な舞台ではないが、GⅠに複数の有力馬を送り込める時点で、厩舎としてのステージは一段上がっている。

若手厩舎は勢いだけで語られがちだが、上原佑紀厩舎の場合は違う。背景には、馬術、獣医学、海外修行、名門厩舎での現場経験がある。そこに、開業後の重賞実績とクラシック戦線での厚みが加わった。

GⅠ初制覇がどの馬で訪れるのか。ニシノティアモか、ダービーの4頭か、それとも今後出てくる新たな管理馬か。いずれにしても、上原佑紀調教師は今後の美浦を語るうえで外せない存在になりつつある。

まとめ

上原佑紀調教師は、単なる若手有望株ではない。父に名調教師を持ちながらも、自身は馬術、獣医学、海外修行、厩舎現場を経て調教師になった実践派である。

  • 平成生まれ初のJRA調教師として2023年に開業
  • 獣医師経験を持ち、馬の体調管理や成長曲線を重視
  • ニシノティアモを福島記念制覇へ導き、GⅠヴィクトリアマイルへ
  • 2026年日本ダービーには4頭出しの可能性
  • クラシック、牝馬重賞、将来的な海外志向まで含めて注目度が高い

2026年春、上原佑紀厩舎は大きな転機を迎えている。ニシノティアモのGⅠ挑戦と、ダービー4頭出し。この二つのトピックは、若き調教師が美浦の主役候補へ駆け上がる過程そのものと言っていい。

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