〖徹底分析〗ダブルハートボンド|JRAレコードの“レコード女王”はチャンピオンズCでダート女王に名乗りを上げるか

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〖徹底分析〗ダブルハートボンド|JRAレコードの“レコード女王”はチャンピオンズCでダート女王に名乗りを上げるか

対象レース:チャンピオンズカップ(GI)
日程:2025年12月7日(日)中京11R 15:40発走
コース:中京・ダート1800m(左)
条件:3歳以上オープン(国際)(指定)定量

4歳牝馬ダブルハートボンドは、中央ダート6戦6勝、前走みやこSでは
JRAダ1800mレコード(1分47秒5)で重賞初制覇と、砂の頂点を狙うにふさわしい戦績で
チャンピオンズカップに乗り込んできます。
キズナ産駒らしい持続力と、米GⅠ馬パーシステントリーを母に持つ超良血牝系の底力――。
本記事では、レース内容・血統・コース適性の3つの観点から、
ダブルハートボンドの「現在地」と「チャンピオンズCでの期待値」を徹底的に整理していきます。


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1. ダブルハートボンドってどんな馬?プロフィール整理

まずは基本情報をサクッと整理しておきます。

馬名 ダブルハートボンド(W Heart Bond)
性齢 牝4(2025年時点)
所属 栗東・大久保龍志厩舎
馬主 シルクレーシング
生産者 ノーザンファーム(北海道・安平町)
血統 父キズナ(ディープインパクト系)×母パーシステントリー(Smoke Glacken)
母母Just Reward、母母母Heavenly Prizeという名門牝系
主な戦績 通算:7戦6勝(中央6戦6勝/地方1戦2着)
重賞:25年みやこS(GⅢ・京都ダ1800m)1着[JRAレコード]
距離適性 ダ1700〜2000m
特にダ1800mは中央6戦6勝とベストディスタンス
脚質イメージ 先行〜好位から長く脚を使う「先行持続力型」
自分のリズムで運べばとにかく崩れないタイプ
馬名の意味 「二つの+愛情をつなぐ」。父名と本馬の馬体イメージからの連想(クラブ公式より)

牝馬ながら牡馬一線級を相手に中央6戦全勝という戦績は、数字だけ見ても圧巻。
しかも、その勝ち星の多くがダ1800mの先行押し切りという点が、
「中京ダ1800m=チャンピオンズC」の舞台を考えるうえで大きなポイントになってきます。


2. レース内容で振り返るダブルハートボンドのポテンシャル

ここからは、レース内容ベースでダブルハートボンドの強み・課題を整理します。
データやラップも大事ですが、「走りのイメージ」を持っておくとチャンピオンズCでの絵が描きやすくなります。

2-1. 中央ダ1800mでの「負け知らず」6連勝

ダブルハートボンドは、デビュー戦(3歳未勝利)から一貫してダ1800mを使われ、
中央ではそのすべてで勝利している「ダ1800mスペシャリスト」です。

  • 3歳未勝利(中京ダ1800m)…既走馬相手に6馬身差の圧勝
  • 3歳以上1勝クラス(中京ダ1800m)…大差に近い勝ち方で連勝
  • 恵那特別(中京ダ1800m・2勝クラス/牝馬)…1番人気に応えて3馬身差完勝
  • 舞鶴S(京都ダ1800m・3勝クラス)…2番手から押し切り
  • 三宮S(阪神ダ1800m・OP)…重馬場のタフな流れを2番手からねじ伏せる
  • みやこS(京都ダ1800m・GⅢ)…一線級相手にJRAレコードV

中身をざっくりまとめると、

  • スタートで出遅れないゲートセンス
  • 好位〜2番手あたりをスムーズにキープできる二の脚
  • 3〜4コーナーでペースを落とさずに加速していく持続力
  • 直線で「もうひと踏ん張り」できる根性と二枚腰

という、ダ1800mの王道「先行持続型」としてほぼ完成されたレースぶり。
とくに三宮SとみやこSという、オープン〜重賞の舞台でも同じスタイルで勝ち切っている点が非常に優秀です。

2-2. 唯一の黒星=ブリーダーズゴールドCは「負けて強し」の2着

4連勝でオープン入りしたあと、地方交流重賞ブリーダーズゴールドカップ(門別ダ2000m)に挑戦して2着。
これが現時点でキャリア唯一の敗戦ですが、

  • 初のナイター競馬&長距離輸送
  • 初の地方2000m&砂質の違い
  • 3〜4コーナーで早めにプレッシャーを受ける展開

と条件がガラッと変わるなかでの2着なら、内容的には「力負け」という印象は薄いレースでした。
むしろ、2000mでも最後までバテずに踏ん張れるスタミナを示した点はポジティブ材料と言えます。

2-3. みやこS:JRAレコード1分47秒5の衝撃V

そして何よりインパクトが大きかったのが、前走みやこS。
3〜4コーナーで早めに先頭に立ち、そのままクビ差凌いでのレコードVでした。

ポイントを整理すると――

  • ペースが緩まない流れを先行しながら押し切っている(展開に恵まれた差し切りではない)
  • 勝ち時計1分47秒5はJRAダ1800mレコード(従来の記録を更新)
  • 牝馬として初めてみやこSを制覇
  • 重賞ウィナーや実績馬が揃ったメンバー構成での勝利

「時計の出やすい馬場だった」とはいえ、自ら速いペースを刻みつつレコードを出したのは高く評価して良いポイント。
4歳世代はフォーエバーヤングやミッキーファイトなど怪物級が揃う“最強世代”と言われますが、
その中でもダート中距離の牝馬トップクラスに位置するのは間違いありません。


3. 血統背景:キズナ×パーシステントリーの“王道ダート配合”

次は本ブログの本領発揮、血統面からダブルハートボンドを掘り下げていきます。

3-1. 父キズナ:ディープインパクト×Storm Catの持続力+機動力

父キズナはご存じディープインパクト産駒の日本ダービー馬。
母はStorm Catを父に持つキャットクイルで、

  • サンデーサイレンス系らしいしなやかさ・末脚の質
  • Storm Cat由来のスピードと機動力

を併せ持つ「持続力型万能サンデー」といった性格の種牡馬です。
産駒の傾向としては、

  • 芝では中距離〜長距離での持続力勝負に強い
  • ダートでも1800m前後でしぶとさを発揮するタイプが多い

とくに最近は、母系に米国ダート血統を入れた配合でダート巧者を多数輩出しており、
ダブルハートボンドもまさにその一頭と言えます。

3-2. 母パーシステントリー:米GⅠ馬&名門Heavenly Prize牝系

母パーシステントリー(Persistently)は、米GⅠパーソナルエンスンSの勝ち馬。
名牝Heavenly Prizeを祖に持つ名門牝系の一員で、

  • Seeking the GoldやDeputy Minister、Mr. Prospector、Northern Dancerといった米国の名血が濃厚
  • 中距離ダートでの粘り強さと、牝馬らしいしなやかなフットワーク

といった特徴を伝える母系です。
日本でもこの牝系からは地方で活躍するダート馬が複数出ており、
底力のあるダート中距離牝系」と見て良いでしょう。

3-3. 配合のツボ:サンデー系×米国ダートの黄金パターン

ダブルハートボンドの配合をざっくりまとめると、

  • 父キズナ…ディープインパクト×Storm Catの持続力+機動力
  • 母パーシステントリー…Smoke Glacken(Deputy Minister系)×Heavenly Prize牝系の米国ダート血統

という、サンデーサイレンス系×米国ダートスピードの王道パターン。
血統表を眺めると、Mr. Prospector や Northern Dancer などの北米スピード血統が適度にクロスしており、
スピードと底力をバランスよく補強した構成になっています。

血統面から見た強み懸念点を整理すると――

◆強み

  • サンデー系×米国ダートで、チャンピオンズCの「王道トレンド」にドンピシャ
  • 父キズナ由来の持続力+母系のパワーで、タフな流れでもバテにくい
  • Storm CatやDeputy Minister、Vice Regentなどが適度に入っており、先行して味のある配合

◆懸念点(あえて挙げるなら)

  • 純然たる短距離スプリント血統ではないため、極端な超高速決着になった時の瞬発力比べは未知数
  • 4歳秋のこのタイミングでかなり完成度が高く、これ以上の“上積み”よりも維持がテーマになりやすい

とはいえ総合的に見れば、「チャンピオンズCにピッタリの配合・キャラクター」と言って良い一頭です。


4. 中京ダ1800m(チャンピオンズC)適性をどう見るか

4-1. コース形態と求められる資質

チャンピオンズカップが行われる中京ダ1800mは、

  • スタート直後に上り坂
  • コーナー4回+最後に急坂
  • 直線約410mと長め

という形態で、ワンターンのマイル戦とはまったく違う資質が問われます。
必要なのは、

  • 1400〜1600m寄りの一瞬の切れよりも、1800〜2000m寄りの持続力
  • コーナー4つを器用に立ち回る機動力
  • 最後の急坂でもう一段ギアを上げて踏ん張る底力

つまり、「持続力型の先行〜好位馬」が最もイメージしやすい舞台です。

4-2. ダブルハートボンドの数字的適性

ダブルハートボンドの距離・コース実績を、中京ダ1800mという観点から整理すると――

  • JRAダ1800m:6戦6勝(中京・京都・阪神で全勝)
  • 中京ダ1800m:3戦3勝(未勝利→1勝クラス→恵那特別とすべて快勝)
  • ダ2000m:門別で2着(ブリーダーズゴールドC)

特筆すべきは、中京ダ1800mをすでに3戦3勝している点。
とくに恵那特別では、3〜4コーナーで早めにポジションを上げて押し切るという、
チャンピオンズCを戦ううえで理想的なレース内容を見せています。

4-3. 展開想定と「勝ちパターン」

2025年のチャンピオンズCは、3歳のナルカミや同世代ルクソールカフェなど、前に行きたい馬も多いメンバー構成。
ダブルハートボンドにとっての理想形は、

  • スタートで出負けせず、好位2〜4番手あたりを確保
  • 向こう正面で無理に動かず、「平均〜やや速め」のラップを刻む
  • 3〜4コーナーでスッと加速して先頭〜2番手に取りつく
  • 直線入り口で先頭〜外目2列目から、レコードホルダーの持続力で押し切る

という、みやこSの再現+相手強化版のようなイメージでしょう。
逆に、

  • 序盤にペースが速くなりすぎて、3〜4コーナーで脚を使わされる
  • ナルカミなどが早めにプレッシャーをかけてくる展開で、必要以上にペースアップしてしまう

といったケースでは、ゴール前で僅かに甘くなるリスクも頭に入れておきたいところです。


5. 総合評価とチャンピオンズCでの「買いどころ」

5-1. ダブルハートボンドという馬のキャラクター

ここまでの内容をまとめると、ダブルハートボンドは

  • 中央ダート6戦6勝&JRAレコード持ちの“無敗の中央女王”
  • ダ1800mで6戦6勝、中京・京都・阪神を問わず強い「1800mスペシャリスト」
  • キズナ×パーシステントリーという、サンデー系×米国ダートの黄金配合
  • 先行して長く脚を使える、完成度の高い先行持続力タイプ

という、「チャンピオンズCで主役級を張れる素質と実績を備えた4歳牝馬」です。

5-2. 予想のスタンス(血統&適性目線)

ナルカミという3歳の新怪物がいるなかで、ダブルハートボンドをどう扱うか。
血統と適性ベースで考えると、

  • 中京ダ1800mという舞台設定そのものは「ほぼベスト」と言って良い
  • レコード勝ち直後でもあり、コンディションさえクリアなら能力的には勝ち負けレベル
  • 展開がタフになればなるほど、牡馬勢にも負けない持続力が活きる

といった評価になります。
馬券的には、

  • 人気がナルカミに一点集中するようなら、対抗〜本命候補としてかなり魅力的
  • 逆にダブルハートボンドも1〜2番人気に支持されるようなら、「レコード後の反動」リスクをどう見るかがポイント

いずれにせよ、2025年チャンピオンズCにおいて最重要級の1頭であることは間違いありません。
ナルカミが砂の新星なら、ダブルハートボンドは「レコード女王」
牡馬一線級と同じ舞台で、その名にふさわしい走りを見せられるか――注目の一戦になりそうです。


6. あえて挙げる不安材料と、その「許容ライン」

ここまでべた褒めしてきましたが、弱点がゼロの馬なんて存在しないのも事実。
ダブルハートボンドについて、管理人が気になっているポイントも正直に整理しておきます。

6-1. まだ「牡馬一線級」との比較がしづらいローテ

戦績だけ見ると中央6戦6勝と完璧ですが、条件クラス時代は牝馬限定戦や手薄な番組も多かったのも事実。
三宮S、みやこSで牡馬相手のオープン・重賞も勝ちましたが、まだ
チャンピオンズCクラスの“ド真ん中の牡馬トップ層”とは未対戦です。

  • フォーエバーヤング級の海外GⅠ級4歳
  • ナルカミのような3歳ダート王候補
  • 古馬の実績GⅠ級(チャンピオンズC・フェブラリーS・サウジ/ドバイ好走組)

こういった「世代・路線のど真ん中」とぶつかっていないぶん、
「本当にこのレベルでも通用するのか?」という不安は残るのが正直なところです。

とはいえ、みやこSでは

  • 古馬のオープン常連・重賞好走馬をまとめて撃破
  • 自分から動いてレコード勝ち

と「クラス慣れは一気にクリアした」内容でもあり、
個人的には
『能力はGⅠ級だが、あとは一線級の強豪との“当たり負け”がないかどうか』
という評価に落ち着いています。

6-2. 前走は不良寄りで“スピード優勢の馬場”だった点

レコードVとなったみやこSは、含水率が高く時計の出やすい不良馬場でした。
いわゆる
「パワーよりもスピードが問われる状態」
で、
ダブルハートボンドにはかなり条件がハマった可能性もあります。

もし今年のチャンピオンズCが

  • 乾いたタフな良馬場
  • ラスト1Fが12秒台後半〜13秒台になるような消耗戦

になった場合、「軽い馬場でスピードに乗って押し切る」みやこS型の走りがどこまで再現できるかは未知数。
ここは人気とのバランスを考えるべきポイントだと思います。

6-3. それでも「軽視まではしづらい」と思う理由

それでも管理人としては、
ダブルハートボンドを「消す」より「買う方向でどこまで印を落とすか」というスタンスです。
理由は大きく3つ。

  • 不良馬場だけでなく、乾いたダ1800mでもしっかり勝ち切ってきた実績がある
  • スピードだけでなく、三宮Sや門別2000mで見せたスタミナ・タフさも備えている
  • 牝馬の2kg減があるぶん、牡馬一線級との「地力差」をある程度補える

要するに、
「馬場や相手関係がシビアになっても、大崩れはしにくいタイプ」という評価。
あとは当日の馬場傾向とオッズを見て、本命で頭から買うか、対抗〜単穴の評価にとどめるかを決めたい一頭です。

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