【徹底分析】アスコリピチェーノ|マイルCS2025で“現役マイル女王”の真価を問う
対象レース:第42回マイルチャンピオンシップ 2025(京都・芝1600m外)|3歳以上|GⅠ
2歳時にデビュー戦から新潟2歳S・阪神JFまで無傷の3連勝を決め、最優秀2歳牝馬。その後も桜花賞・NHKマイルC2着、京成杯オータムH勝ちと、世代マイル路線の軸であり続けてきたのがアスコリピチェーノです。
4歳シーズンに入ってからはサウジの1351ターフスプリントを制覇→ヴィクトリアマイルで古馬牝馬の頂点と、もはや「日本の牝馬マイル王」の座に最も近い存在。
今回のマイルCSは、ジャンタルマンタルやソウルラッシュら一流マイラーたちとの直接対決で、真の“現役マイルナンバーワン”を決める舞台と言って良いでしょう。
ここでは、アスコリピチェーノについて①戦績とローテ ②血統背景 ③京都外回りマイル適性 ④ラップ&脚質 ⑤買い/不安材料 ⑥ジャンタルマンタルとの力関係を整理し、馬券的な評価を掘り下げていきます。
1. プロフィール&これまでの戦績ざっくり整理
まずは、アスコリピチェーノの“全体像”から。
- 牝4歳(2021年生まれ)
- 戦績:10戦6勝[6-2-0-2](国内外合算)
- 主な勝ち鞍:新潟2歳S(GⅢ)、阪神JF(GⅠ)、京成杯オータムH(GⅢ)、1351ターフスプリント(GⅡ)、ヴィクトリアマイル(GⅠ)
- 主な好走歴:桜花賞2着、NHKマイルC2着 など
- 表彰:2023年JRA賞 最優秀2歳牝馬
- 父:ダイワメジャー(サンデーサイレンス系)
- 母:アスコルティ(父Danehill Dancer)の良血牝系出身
2歳春のデビューから一貫してマイル路線を歩み、「マイルのGⅠと前哨戦を勝ちまくっている純粋なマイラー」というのがこの馬のキャラクター。
距離を伸ばしたり極端に短くしたりする必要がなく、ずっと適条件を使えていること自体が大きな強みです。
2. ローテーションと近走評価|2歳女王から“世界を回るマイラー”へ
アスコリピチェーノの価値を語るうえで、「どのローテで、どの相手に、どれだけ走ってきたか」は外せません。主なレースだけ簡潔に振り返ります。
◆ 2歳〜3歳春:新潟2歳S→阪神JFの無敗女王&クラシック2着×2
- 新潟2歳S(芝1600m)1着…2歳夏のマイル重賞を人気に応えて差し切り勝ち。直線でのギアチェンジ能力が非常に高い。
- 阪神JF(芝1600m)1着…直線で馬群を捌き、最後はステレンボッシュの追撃を凌いでレコード勝ち。この一戦で2歳世代の頂点に立つ。
- 桜花賞(芝1600m)2着…好位からセンス良く運び、ゴール前まで勝ちに行く競馬で僅差2着。負けて強しの内容。
- NHKマイルC(芝1600m)2着…直線でややスムーズさを欠きつつも最後まで伸びてジャンタルマンタルの2着。牡馬一線級と互角以上に戦えることを証明。
3歳春の時点で、すでにマイルGⅠ級相手に馬券圏内を外していない点は、今回のマイルCSでも素直に評価したいポイントです。
◆ 3歳秋〜4歳春:京成AH→海外遠征→ヴィクトリアマイル制覇
- 京成杯オータムH(芝1600m・中山)1着…3歳牝馬で55.5kgを背負いながら、後方から上がり32秒台の末脚で差し切り。1分30秒台前半の高速決着を制し、ハンデ戦でも格の違いを見せつけました。
- ゴールデンイーグル(豪・約1500m)12着…初の長距離遠征+多頭数・タイトな条件もあり、ここは経験値を積んだ一戦。
- 1351ターフスプリント(サウジ・芝1351m)1着…1400m寄りの特殊条件でも、しっかり対応して勝ち切り。海外GⅡを制し、スピード適性の幅広さを証明。
- ヴィクトリアマイル(東京芝1600m)1着…日本に戻って古馬牝馬同士の頂上決戦を制覇。東京マイルのGⅠを勝ち切ったことで、“現役マイル女王”と呼べる存在になりました。
ここまでを見ると、「1600mなら国内外どこへ行っても崩れにくいタイプ」という印象。
距離・馬場・展開の多少のブレは、その総合力の高さでカバーしてしまう懐の深さがあります。
3. 血統分析|ダイワメジャー×欧州名牝系の“高速マイラー”配合
アスコリピチェーノの強さの根っこにあるのが、やはり血統背景の優秀さです。
-
父:ダイワメジャー(サンデーサイレンス系)
・皐月賞・マイルCS・天皇賞秋などGⅠ3勝の名マイラー/マイラー寄り中距離馬。
・産駒も芝マイル〜中距離での一流スピード+前向きさを伝えるタイプが多い。 -
母:アスコルティ(父Danehill Dancer)
・母系は欧州の名門牝系で、フィリーズマイル勝ち馬Listen、さらにその一族から欧州GⅠ馬が複数出ている良血一族。
・日本でもタッチングスピーチ(ローズS勝ち)など、瞬発力と底力を兼ね備えた産駒を出しています。
つまり配合面では、
- 父系から:日本の高速マイル〜中距離をこなすスピードと前向きさ
- 母系から:欧州由来の“底力”と、GⅠ級の瞬発力を持つ名牝系の血
を受け継いだ形で、「速い時計勝負でも、タフな流れでも対応できるマイルGⅠ型の配合」と言えます。
マイルCSが行われる京都芝1600m(外)は、“高速決着になりやすいが、ペース次第ではタフな持続力も要求されるコース”。
そこにダイワメジャー×欧州名牝系という組み合わせは、かなりハマりの良い血統構成です。
4. 京都芝1600m(外)へのコース適性
アスコリピチェーノ自身は、これまで阪神・東京・中山を主戦場にしており、京都での実戦経験はありません。
それでも、これまでのレースぶりから京都外回りマイルへの“適性の高さ”は十分に推測できます。
◆ プラス要因
- 長い直線+下り坂からの加速…新潟2歳Sや東京・中山のマイル戦で見せた、直線で長く脚を使いつつ一気にギアを上げる走りは、京都外回りと相性◎。
- 高速決着への耐性…阪神JFのレコード勝ち、京成AHの高速決着など、速い時計にまったく動じない実績。
- ワンターンの1600mがベスト…東京・中山ともにワンターンのマイル戦で安定したパフォーマンスを発揮しており、「コーナー2つ+長い直線」の構造は京都とも共通。
◆ 気になるポイント
- スタート直後のポジション取り…マイルCSは序盤からある程度流れやすく、位置取りが後ろすぎると届かないリスクも。京成AHのように中団〜やや後ろからでも差し切れるかは、当日のペース次第。
- 外回りでのコーナー通過…外回りは3〜4角のカーブが緩く、そこでどこまでロスなく立ち回れるかもポイント。極端な大外ブン回しは避けたいところです。
総合すると、「コース未経験だが、構造的にはかなり合う」と見て良いタイプ。
むしろ、阪神内回りよりも京都外回りの方が“本来の末脚”を発揮しやすい可能性すらあります。
5. ラップ&脚質分析|キレと持続のバランス型マイラー
ラップ面で見ると、アスコリピチェーノは「一瞬の切れ」だけでなく「トップスピードの持続」も兼ね備えたタイプです。
◆ 典型例:京成杯オータムHのイメージ
京成AHでは、前半から速い流れを追走しつつ、直線では上がり32秒台の末脚で差し切り。
これは、
- 速い流れを追走しながらもラストでさらにギアを上げられる
- トップスピードに乗ってからも長く脚を使える
という2つの要素を満たしており、マイルCS向きの「ロンスパ対応型の差し馬」と言えます。
◆ 脚質のイメージ
- ベストポジションは中団〜やや後方の外目
- 4角手前からジワッと加速し、直線半ばでトップギアに入るイメージ
- 決め手勝負にも対応できるが、ある程度流れた方がパフォーマンスは安定
京都マイルでありがちな「L4からのロングスパート戦」になれば、この馬の持続力+瞬発力のバランスの良さが大きな武器になります。
6. 買い材料|現役屈指の“マイル実績+血統+完成度”
- 2歳時から一貫してマイル重賞のトップレベル(阪神JF勝ち・桜花賞&NHKマイルC2着・京成AH勝ち・ヴィクトリアM勝ち)。
- ダイワメジャー×欧州名牝系という「日本の高速マイル+欧州的底力」のバランスの良い配合。
- 高速決着に滅法強い時計実績(レコード勝ちや1分30秒台前半の決着を経験)。
- 国内外の遠征をこなしながらも崩れにくいメンタル・体質の強さ。
- マイルCS想定メンバーの中でも“純マイラーとしての完成度”は最上位クラス。
7. 不安材料|“取りこぼしパターン”を想像しておく
-
スタートとポジション取り次第では届かないリスク
極端なスローペース+内前有利の馬場で、内の先行勢が楽をする展開になると、さすがに差し届かないシーンも想像されます。 -
タフな馬場状態
道悪の経験自体はあるものの、ベストはやはり良〜稍重の高速寄り。極端な重・不良になれば、ジャンタルマンタルやソウルラッシュといったパワー型と比較して評価を一段下げる必要があるかもしれません。 -
海外遠征帰りの“ピークのタイミング”問題
すでにシーズン中に海外遠征を挟んでおり、ヴィクトリアM→海外遠征→マイルCSというローテがどこまで体に負担をかけているかは、当日の気配もチェックしておきたいところです。
8. ジャンタルマンタルとの力関係|レース内容×成長曲線で整理する
マイルCS2025で多くのファンが気にしているのが、「NHKマイルCの再戦で力関係はどう変わるのか」という点でしょう。
◆ NHKマイルC時点の力関係(3歳春)
-
ジャンタルマンタル:
当時3歳牡馬のエース格。先行して自分から動いて押し切る形で完勝。 -
アスコリピチェーノ:
後方寄りの位置から差を詰めて2着確保。進路や仕掛けのタイミング次第では、
もっと際どい勝負になっていてもおかしくない内容でした。
このレースでは、牡57kg・牝55kgで斤量差は2kg。
つまり当時からすでに“同じ条件の中で”ジャンタルマンタルがわずかに先着した、という構図でした。
内容的には、「ジャンタルマンタルが王道の競馬で勝ち、アスコリピチェーノも自分の力は出し切っての2着」という評価が妥当で、
3歳春の時点ではジャンタルマンタルが半歩リードと言って良いでしょう。
◆ 4歳秋時点:実績と“キャラの違い”
-
ジャンタルマンタル:
・2歳時に朝日杯FS、3歳時にNHKマイルC、4歳時(今年)の安田記念を制した「マイルGⅠ3勝馬」。
・東京マイルを中心に、好位〜3番手あたりから長く脚を使う“王道マイラー”というキャラクター。 -
アスコリピチェーノ:
・2歳時に阪神JF、4歳時に1351ターフスプリント&ヴィクトリアマイルを制し、牝馬路線+海外GⅡでも実績十分。
・中団〜後方からトップスピードに乗せて差すスタイルで、末脚のインパクトはこちらが上。
4歳秋現在で見ると、実績の量(GⅠの数)ではジャンタルマンタルが上。
一方で、レースのバリエーションや「どんな流れでも大崩れしない安定感」ではアスコリピチェーノも引けを取りません。
◆ マイルCSという舞台での“条件差”
-
脚質×京都外回り:
・ジャンタルマンタル…好位から早めに押し上げて持続力で押し切るタイプで、3〜4角の下りを利用しやすい。前半からそこそこ流れてくれた方が持ち味が生きる。
・アスコリピチェーノ…直線に向いてからのトップスピードの質はこちらが上。京都外回りの長い直線と下り坂は、末脚をフルに生かせる舞台。 -
ローテーションとピーク:
・ジャンタルマンタル…安田記念で東京マイルの頂点を再確認し、秋に富士Sなどを挟んでマイルCSへ、という“王道路線”。
・アスコリピチェーノ…1351ターフ→ヴィクトリアM→欧州遠征と、世界を飛び回るタイトなローテ。その分、国内では一戦ごとの仕上げがシビアになるタイプ。 -
斤量の扱い方:
マイルCSでも、4歳牡馬と4歳牝馬の斤量差はやはり2kg。
つまり、NHKマイルCと同じ差なので、「斤量差が広がったから逆転」という話ではありません。
むしろ、4歳秋までの成長度合い・ローテの負担・当日のデキによって、
「同じ2kg差をどちらがよりプラスに使えるか」という勝負になります。
総合すると――
・“地力と実績”ではジャンタルマンタルがわずかに優位。
・“完成度と末脚の破壊力”、そして牝馬の2kgを生かした一撃ならアスコリピチェーノも逆転可能。
という構図で、マイルCSでの勝負付けが完全に済んだとは言えない、という見立てになります。
馬券的には、「ジャンタルマンタルを軸・物差しに置きつつ、アスコリピチェーノをどの強さで絡めるか」という組み立てが現実的でしょう。
9. 総合評価|マイルCS2025での“立ち位置”と馬券スタンス
ここまで整理してみると、アスコリピチェーノは――
- 距離適性:1600mはベスト中のベスト
- 舞台適性:京都外回りマイルも構造的にはかなり合う
- 実績:牝馬同士ではすでに頂点級、混合マイルGⅠでも十分戦える裏付けあり
という、「能力・適性ともにマイルCSで主役を張れる存在」です。
馬券的には、
- 良馬場〜やや速い時計が出るコンディション → 本命〜対抗級の評価
- 極端な重・不良馬場+内前有利 → ジャンタルマンタルやソウルラッシュとの比較で印を調整
といったスタンスが現実的でしょう。
当ブログでは、枠順と馬場傾向、他有力馬(ジャンタルマンタル・ソウルラッシュなど)の並びを確認したうえで、マイルCS直前に「最終予想」記事も公開する予定です。
まずはこの徹底分析で、アスコリピチェーノを「今年のマイル王争い」の基準として、他馬との比較軸にしていただければと思います。
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