安田記念2026の最終追い切りは、時計だけで判断しづらい一週になった。
週中の雨の影響で、美浦・栗東ともに馬場状態は重く、最終追い切りで派手な時計を出した馬ばかりではない。むしろ重要なのは、1週前にしっかり負荷をかけ、最終追い切りで無理なく整えられているか。春のマイル王決定戦らしく、今年は能力差が読みづらく、調教過程の中身がそのまま評価差につながりやすい一戦だ。
アドマイヤズームの回避もあり、人気の軸が定まり切らない混戦模様。ここでは最終追い切りと1週前追い切りを合わせて、状態面から評価を整理していく。
最終追い切り評価まとめ
| 評価 | 馬名 | 最終追い切り | 評価ポイント |
|---|---|---|---|
| トロヴァトーレ | 美浦W 6F85.4-11.3/併せ先着 | 不良馬場でも余力十分。1週前から反応、折り合い、加速の質が高く、昨年とは別馬の充実感。 | |
| パンジャタワー | 栗東CW 6F82.8-11.2/馬なり | 距離を持たせる意識のCW追い。馬なりで最後まで動けており、マイル仕様としては好感。 | |
| ステレンボッシュ | 美浦W 5F65.2-11.3/単走 | 前走後も順調。マイルは短めでも、状態面は前走以上を感じさせる内容。 | |
| ガイアフォース | 栗東坂路 54.9-13.2/馬なり | 最終は流し気味だが、1週前の50.3-11.8が圧巻。7歳でも衰えより充実が目立つ。 | |
| シックスペンス | 美浦W 6F83.2-11.2/併せ同入 | 気持ち面の課題は残るが、動き自体は良化。ブリンカー効果が出れば一変の余地。 | |
| セイウンハーデス | 栗東坂路 52.6-12.1/馬なり | リラックスして反応良好。久々のマイルでも状態面は軽視できない。 | |
| ウォーターリヒト | 栗東坂路 56.8-12.3/一杯 | 全体時計は控えめでも、重い馬場でラスト12.3は悪くない。立て直し気配あり。 | |
| スズハローム | 栗東坂路 57.4-12.2/末強め | 1週前のCWが優秀。最終はやりすぎず、状態維持型として評価。 | |
| ルクソールカフェ | 美浦W 4F52.2-11.8/馬なり | 動きは良いが、芝マイルG1への適性は未知数。調教だけなら評価可能。 | |
| ワールズエンド | 栗東坂路 55.8-12.6/馬なり | 間隔が詰まる中でも順調。重い馬場を苦にしない点は好材料。 | |
| レーベンスティール | 美浦W 6F80.3-11.9/単走 | 時計は出ているが、マイルの切れ味勝負にどこまで対応できるかが鍵。 | |
| サクラトゥジュール | 美浦W 4F53.2-11.7/馬なり | 1週前でほぼ仕上げ、当週は整える形。年齢面よりも気分よく運べるか。 | |
| オフトレイル | 栗東坂路 54.5-12.5/末強め | 末脚の質は高い。坂のある東京で同じ脚を使えるかが焦点。 | |
| シリウスコルト | 美浦W 6F84.2-11.2/単走 | 状態は安定。相手強化のG1でどこまで通用するか。 | |
| ドラゴンブースト | 栗東坂路 55.6-13.3/馬なり | 1週前に負荷をかけ、最終は予定通り。大きな減点はないが強調材料も控えめ。 | |
| ロングラン | 美浦W 5F67.4-11.5/併せ同入 | 大きな変動はないが、感触は悪くない。東京替わりでどこまで。 | |
| シャンパンカラー | 美浦坂路 52.9-12.2/G前仕掛け | 順調ではあるが、近走からの大幅上昇まではどうか。渋った馬場が味方なら再考。 |
最終追い切りで特に評価したい馬
今年の充実度を最も強く感じるのがトロヴァトーレ。最終追い切りは美浦ウッドで6F85.4-ラスト11.3。時計だけなら派手すぎる内容ではないが、不良馬場を考えれば十分。稽古で動く相手を追走し、最後は余力を残して先着した点に中身がある。
栗東CWで6F82.8-ラスト11.2。最終を坂路ではなくコースで行った点に、マイルへの対応を意識した調整意図が見える。昨年のNHKマイルCを制した舞台へ向け、短距離寄りになりすぎないように作られている印象だ。
美浦ウッドで5F65.2-ラスト11.3。前走後の疲れを感じさせず、むしろ状態は上がっているように映る。マイルG1の流れが課題になるが、体調面だけなら上位に置きたい。
最終追い切りは坂路54.9-ラスト13.2と終いの時計は目立たない。ただし、これは1週前にしっかり負荷をかけたうえでの調整。1週前の坂路50.3-11.8が非常に優秀で、最終追い切りだけで評価を下げる必要はない。
各馬の追い切り診断
トロヴァトーレ 評価S
最終追い切りは美浦ウッドで6F85.4-69.2-53.9-38.6-11.3。イゾラフェリーチェを追走し、最後は先着。昨年の安田記念では大敗しているが、当時と比較して折り合い、反応、馬体の充実度が明らかに変わってきた印象がある。
東京新聞杯、エプソムCを連勝している勢いは調教にも表れており、無理に時計を出さずとも加速できる点が好材料。状態面では最上位評価にしたい。
パンジャタワー 評価S
最終追い切りは栗東CWで6F82.8-67.1-51.6-36.3-11.2。馬なりでこの時計なら十分で、1週前にもセイウンハーデスを相手にしっかり負荷をかけている。
近走はスプリント寄りのローテーションだが、今回はCWで長めから乗られ、距離を持たせる意識がはっきりしている。NHKマイルCを勝った東京芝1600mに戻る点も大きく、調教過程だけなら非常に好感が持てる。
ステレンボッシュ 評価A+
最終追い切りは美浦ウッドで5F65.2-50.0-36.1-11.3。単走でリズムよくまとめ、前走後の反動を感じさせない内容だった。
本質的にはもう少し距離があってもいいタイプだが、体調面は高いレベルにある。前走でトロヴァトーレと差のない競馬をしており、マイルの流れに対応できれば上位争いに加わる余地はある。
ガイアフォース 評価A+
最終追い切りは栗東坂路で54.9-39.7-26.0-13.2。終いだけを見ると物足りなく映るが、今回は1週前に坂路50.3-36.4-23.7-11.8と強い負荷をかけている。
昨年の安田記念2着馬で、東京芝1600mへの適性はすでに証明済み。7歳になったが、追い切り過程からは衰えよりも順調さが目立つ。最終は無理をしなかっただけと見て、総合評価は高くしたい。
シックスペンス 評価A
最終追い切りは美浦ウッドで6F83.2-67.2-51.5-36.5-11.2。併せ馬で同入し、終いの反応も悪くない。1週前も美浦ウッドで6F82.2-ラスト11.0と、2週続けて動けている。
気持ち面の難しさは残るが、今回はブリンカー着用も視野に入る調整過程。集中して走れれば、能力を出し切る可能性はある。
セイウンハーデス 評価A
最終追い切りは栗東坂路で52.6-37.8-24.4-12.1。馬なりでリラックスして走れており、最後の反応も良かった。
久々のマイル戦という点は判断が分かれるが、近走内容と調教を見る限り、状態は良好。東京コースへの適性もあり、人気の盲点になるなら面白い。
ウォーターリヒト 評価B+
最終追い切りは栗東坂路で56.8-41.1-26.0-12.3。全体時計は控えめだが、不良馬場でラスト12.3なら悪くない。
1週前は栗東CWでメイショウタバルを相手に負荷をかけており、前走から調整パターンを戻してきた点も注目材料。末脚型だけに展開待ちの面はあるが、状態面の下げ幅は小さい。
スズハローム 評価B+
最終追い切りは栗東坂路で57.4-40.8-25.7-12.2。馬場を考えてやりすぎない内容だったが、1週前の栗東CWが非常に良かった。
前走のダービー卿CT勝ちで勢いがあり、体にも実が入ってきた印象。東京の広いコースに替わる点も悪くない。
ルクソールカフェ 評価B+
最終追い切りは美浦ウッドで4F52.2-37.2-11.8。1週前には6F82.4-ラスト10.9と鋭い動きを見せており、調教の見栄えは良い。
ただし、これまでのキャリアを考えると芝マイルG1への適性は未知数。体調面の良さと条件適性の不確かさを分けて考える必要がある。
ワールズエンド 評価B+
最終追い切りは栗東坂路で55.8-39.5-25.3-12.6。予定よりやや速くなったようだが、重い馬場を苦にせず動けている点は評価できる。
前走の京王杯SC勝ちで勢いがあり、今回はハナにこだわらず我慢する形も示唆されている。折り合って脚をためられれば、東京マイルでも粘り込み以上が見えてくる。
レーベンスティール 評価B+
最終追い切りは美浦ウッドで6F80.3-65.2-51.4-37.7-11.9。全体時計は速く、体調面は大きく崩れていない。
一方で、ラストの鋭さというよりは全体負荷の調整。東京で勝っている実績はあるが、マイルG1の瞬発力勝負に完全対応できるかは見極めが必要だ。
サクラトゥジュール 評価B
最終追い切りは美浦ウッドで4F53.2-37.7-11.7。1週前に5F65.4-ラスト11.0としっかり動いており、当週は整える形だった。
9歳でも調整過程は順調。気性的な難しさを抱える馬だけに、当日のテンションと折り合いが重要になる。
オフトレイル 評価B
最終追い切りは栗東坂路で54.5-39.5-25.4-12.5。1週前に栗東CWで自己ベスト級の内容を消化しており、当週は調整程度。
末脚はこのメンバーでも見劣らない。ただし、坂のあるコースで結果が出ていない点は課題。東京の長い直線でどこまで脚を使えるか。
シリウスコルト 評価B
最終追い切りは美浦ウッドで6F84.2-67.5-52.3-37.4-11.2。単走で終いまで動けており、状態は安定している。
距離を詰めてから内容は悪くないが、今回はG1で相手が一気に強くなる。調子の良さをどこまで結果につなげられるかがポイントだ。
ドラゴンブースト 評価B
最終追い切りは栗東坂路で55.6-39.9-26.1-13.3。1週前に坂路51.3-12.2と負荷をかけており、当週は予定通りの調整。
成長は感じられるが、最終追い切りで強く評価を上げるほどの迫力まではない。広いコース替わりで末脚を引き出せるか。
ロングラン 評価B
最終追い切りは美浦ウッドで5F67.4-52.3-37.8-11.5。1週前に強めの負荷をかけており、当週は直線の反応確認という内容。
大きな上昇というより、状態維持の印象。ストライドが長く東京は悪くないが、G1のマイル戦でどこまで流れに乗れるか。
シャンパンカラー 評価C+
最終追い切りは美浦坂路で52.9-38.7-25.0-12.2。予定通りに動けており、順調さはある。
ただ、1週前は時計こそ出ていたが、気持ちの入り方にやや物足りなさも残る内容。東京マイルは合うが、近走からの一変までは慎重に見たい。
追い切りから見た注目ポイント
- 1週前にしっかり負荷をかけ、最終で整えた馬が多い。 ガイアフォース、パンジャタワー、スズハローム、レーベンスティールはこのパターンに該当する。
- 最終追い切りの時計は馬場差を考慮したい。 不良・重・稍重の馬場で行われた馬も多く、単純なラスト1F比較は危険。
- マイルへの適性確認が重要。 パンジャタワーは短距離寄りからのマイル戻り、ステレンボッシュとレーベンスティールは距離短縮、ルクソールカフェは芝適性が焦点になる。
- 状態面で最も強調したいのはトロヴァトーレ。 昨年の大敗時とは調整過程も馬の雰囲気も違い、今年の充実度は素直に評価したい。
最終追い切り診断のまとめ
安田記念2026の最終追い切りで最も高く評価したいのは、トロヴァトーレとパンジャタワー。どちらも東京芝1600mに向けた調整意図がはっきりしており、最終追い切りの内容にも余裕があった。
続く評価は、ステレンボッシュとガイアフォース。ステレンボッシュは前走以上の気配を感じさせ、ガイアフォースは最終時計より1週前の圧巻の動きを重視したい。
穴で状態面から拾うなら、セイウンハーデス、スズハローム、ワールズエンドあたり。いずれも人気ほど状態評価が低くならないタイプで、馬場や展開が噛み合えば上位食い込みの余地はある。
一方で、ルクソールカフェは調教の動き自体は良いものの、芝マイルG1への適性が未知数。シャンパンカラーは渋った馬場なら見直せるが、追い切りだけで大きく評価を上げるまでは慎重に見たい。
今年の安田記念は、絶対的な中心馬が不在の混戦。そのぶん、追い切りの良し悪しだけでなく、調整過程と東京芝1600mへの適性をどう結びつけるかが重要になる。最終予想では、枠順、土曜の東京芝の内外差、当日の馬場状態、実オッズを加えて評価を微調整したい。
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