キングジョージ2026考察|マスカレードボールとカランダガン再戦、日本馬初制覇なるか

海外競馬

2026年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークスは、日本競馬にとって歴史的な一戦となる可能性を秘めている。

日本から挑戦するのは、昨年のジャパンカップで世界王者カランダガンとアタマ差の接戦を演じたマスカレードボールと、天皇賞(春)でクロワデュノールを最後まで追い詰めたヴェルテンベルクの2頭。

迎え撃つ欧州勢も、連覇を狙うカランダガンを筆頭に、愛ダービー馬ベンヴェヌートチェッリーニ、2024年の覇者ゴリアット、昨年2着のカルパナ、欧州牝馬の一線級ミニーホークなど、近年でも屈指の豪華メンバーが揃う予定だ。

東京競馬場の高速決着で生まれたカランダガンとマスカレードボールのアタマ差。その再戦が、起伏の激しいアスコット競馬場でどのような結末を迎えるのか。血統、近走内容、コース適性、展開面から考察していきたい。

レース名 キングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークス(G1)
開催日 2026年7月25日(土)
競馬場 イギリス・アスコット競馬場
コース 芝2390メートル
条件 3歳以上・定量
発走予定 日本時間23時35分
賞金総額 200万ポンド

※出走予定馬および発走時刻は2026年7月22日時点。最終出馬投票は7月23日に行われる予定です。

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東京のアタマ差が、そのままアスコットの力関係になるとは限らない

最大の注目は、やはりカランダガンとマスカレードボールの再戦だろう。

昨年のジャパンカップでは、カランダガンがレコード決着を制し、マスカレードボールがアタマ差の2着。直線で馬群を割って伸びたマスカレードボールも、一度は勝利に手が届きかける内容だった。

ただし、今回は東京芝2400メートルではなく、アスコット芝2390メートル。距離はほぼ同じでも、求められる能力は大きく異なる。

東京競馬場は長い直線と高速馬場への対応力が重要になる一方、アスコット競馬場は道中の起伏が大きく、最後まで脚力を持続させなければならない。直線だけの瞬発力ではなく、坂を越えてからもう一段階伸びるスタミナと底力が必要になる舞台だ。

ジャパンカップではマスカレードボールが日本の馬場とコースを熟知していた。今回は反対に、前年のキングジョージを制しているカランダガンが舞台経験で明確に優位に立つ。

東京でのアタマ差は能力差が小さいことを示しているが、舞台適性まで含めれば、現時点ではカランダガンを一歩上に評価するのが妥当だろう。

マスカレードボール|日本競馬のスピードを欧州で示せるか

マスカレードボールは父ドゥラメンテ、母父ディープインパクトという、日本競馬を代表する血統構成を持つ。

父ドゥラメンテから受け継いだ持続力と勝負根性に、母父ディープインパクトの瞬発力が加わり、東京競馬場では極めて高いパフォーマンスを見せてきた。

昨秋の天皇賞(秋)でGⅠ初制覇を果たすと、続くジャパンカップではカランダガンとアタマ差の2着。今年初戦のクイーンエリザベスⅡ世カップでも、香港の英雄ロマンチックウォリアーに次ぐ2着に入った。

勝ち切れてはいないものの、東京、香港と異なる競馬場で世界トップクラスを相手に連続して好走している点は高く評価できる。特に香港遠征を経験したことで、海外輸送や現地調整に対する不安は以前より小さくなった。

最大の課題はアスコットの起伏

能力そのものに疑いはない。問題は、直線の瞬発力を武器としてきたマスカレードボールが、アスコットの起伏を越えたあとも同じ末脚を使えるかどうかだ。

マスカレードボールは道中で折り合い、直線に向いてから一気に加速する形を得意としている。しかしアスコットでは、勝負どころに入る前から徐々に脚を使わされる可能性が高い。

仕掛けを遅らせすぎれば前を捕まえ切れず、早めに動けば最後の上りで脚が鈍る。日本とは異なる馬場とコースで、騎手がどこから進出を開始するかが大きなポイントになる。

乾いた馬場は歓迎材料

近走内容と血統を考えれば、極端な道悪よりも、ある程度乾いた馬場の方が力を発揮しやすい。

良馬場でスピードと切れ味が生きる条件になれば、ジャパンカップでカランダガンと互角に戦った末脚を再現できる可能性は十分にある。

日本調教馬初のキングジョージ制覇を狙ううえで、中心となるのは間違いなくこの馬だ。

ヴェルテンベルク|スタミナ勝負なら軽視できない

もう1頭の日本代表ヴェルテンベルクは、父キタサンブラック、母父フレンチデピュティという血統。

父キタサンブラックから受け継いだ豊富なスタミナと持続力に、母系のパワーが加わった配合で、平坦な高速決着よりも、長く脚を使う消耗戦に持ち味がある。

今年の天皇賞(春)では12番人気の低評価を覆し、クロワデュノールとハナ差の2着。直線では外から力強く伸び、最後まで脚色が衰えなかった。

3200メートルの天皇賞(春)で見せたスタミナは、アスコットの厳しいコースを乗り切るうえで大きな武器となる。

距離短縮への対応が鍵

一方で、今回の2390メートルは天皇賞(春)より800メートル以上短い。

欧州の2400メートル戦は、日本の長距離戦に近いスタミナを要求されることもあるが、メンバー構成を考えると一定以上のスピードも必要になる。カランダガンやマスカレードボールが良馬場で速い上がりを使った場合、純粋な瞬発力では分が悪い。

ヴェルテンベルクにとって理想的なのは、前半から緩みのない流れとなり、各馬が早めに脚を使う持続力勝負。直線だけの競馬ではなく、坂の途中からスタミナを問われる展開になれば浮上する余地がある。

現地で騎乗する予定のオイシン・マーフィー騎手が、早めに動いてヴェルテンベルクの持久力を引き出せるかにも注目したい。

カランダガン|コース実績と良馬場の瞬発力は最上位

欧州勢の中心は、前年覇者カランダガンで揺るがない。

父グレンイーグルス、母父シンダーという血統で、父系からスピード、母系から欧州2400メートルに対応するスタミナを受け継いでいる。

昨年はキングジョージを制したあと、ジャパンカップでもマスカレードボールを退けて優勝。今年はドバイシーマクラシックまで芝2000メートルから2400メートルのG1を5連勝した。

コロネーションカップでは道悪の影響もあって4着に敗れたが、続くサンクルー大賞では最後方から強烈な末脚を繰り出して優勝。JRAのレース展望では、ラスト3ハロン32秒67という非常に速い上がりを記録したと紹介されている。

昨年のキングジョージを勝っているため、アスコットへの適性を改めて証明する必要もない。乾いた馬場になれば、現役世界トップクラスの末脚を最も安定して発揮できる存在だ。

不安材料は位置取りと馬場状態

後方から進める競馬が多いため、流れが落ち着きすぎると前を捕まえ切れない危険はある。

また、コロネーションカップで道悪に苦しんだように、雨が降って馬場が大きく悪化した場合は絶対的な存在とは言い切れない。

それでも、良馬場から多少時計のかかる程度の馬場であれば、コース実績、近走成績、末脚の質を総合して最上位評価となる。

3歳馬ベンヴェヌートチェッリーニが最大の伏兵

カランダガンとマスカレードボールの一騎打ちに待ったをかける存在が、愛ダービーを制した3歳馬ベンヴェヌートチェッリーニだ。

英ダービーでは発馬時のアクシデントによって競走除外扱いとなったが、乾いた馬場で行われた愛ダービーでは能力を発揮して快勝した。

古馬との比較ではまだ未知の部分があるものの、3歳馬には定量戦の斤量恩恵がある。成長力の大きい時期でもあり、愛ダービーからさらに状態を上げてくるようなら、古馬の実績馬をまとめて破っても不思議ではない。

比較的前の位置から競馬ができる点も強み。カランダガンとマスカレードボールが後方でけん制し合えば、斤量差を生かして先に抜け出す展開も考えられる。

ゴリアット、カルパナ、ミニーホークも侮れない

ゴリアット

2024年のキングジョージ勝ち馬であり、アスコット適性ではカランダガンに劣らない。

近走では安定感を欠く面もあるが、過去の勝利経験がある以上、舞台が替わって評価を下げる必要はない。流れが厳しくなり、瞬発力だけでなく底力を問われれば巻き返す可能性がある。

カルパナ

カルパナは、昨年のキングジョージでカランダガンの2着に入った実力牝馬。アスコットでは安定して力を発揮しており、コース適性の高さは大きな強みとなる。

血統面では、父がスタディオブマン。スタディオブマンは日本の名馬ディープインパクトを父に持ち、現役時代にはフランスダービーを制した良血馬である。

そのため、カルパナは父系を通じてディープインパクトの孫にあたる。欧州で生産、調教された馬ではあるが、日本競馬を代表する血が世界最高峰の舞台でどのような走りを見せるのか、日本の競馬ファンにとっても注目したい存在だ。

母父ダンシリからは欧州的な持続力と底力を受け継いでおり、ディープインパクト系の反応力と、欧州芝2400メートルに対応する持久力を兼ね備えた血統構成といえる。

派手な末脚ではカランダガンに及ばなくても、好位から長く脚を使えるのが持ち味。後方勢より先に動き、粘り込む形に持ち込めれば上位争いに加わってくる。

カランダガン、マスカレードボールに注目が集まりやすい一戦だが、コース実績と血統背景を考えれば、カルパナも優勝候補の一角として軽視できない。

ミニーホーク

昨年は英オークスなど複数のG1を制し、欧州最優秀3歳牝馬に選出された実力馬。

今季のプリンスオブウェールズステークスではオンブズマンの2着に入り、古馬になっても能力が衰えていないことを示した。距離が2390メートルに延びるのは歓迎材料で、牝馬の斤量恩恵も無視できない。

ベイシティローラー

今年のコロネーションカップを大差で制した実績は強烈だった。

その勝利は馬場適性が大きく影響した可能性もあるが、スタミナとパワーを問われる条件では非常にしぶとい。雨によって馬場が悪化した場合は、評価を大きく上げる必要がある。

展開の鍵を握る欧州勢の頭数

最終的な展開を読むうえでは、エイダン・オブライエン厩舎が何頭を出走させ、どの馬がペースを作るのかが重要になる。

カランダガン、マスカレードボール、ヴェルテンベルクはいずれも、前半から積極的に先頭へ立つタイプではない。逃げ馬が不在となれば、欧州G1としては落ち着いた流れになる可能性もある。

スローペースになれば、好位で運べるベンヴェヌートチェッリーニやカルパナが有利。反対に、複数の先行馬がペースを引き上げれば、カランダガンとマスカレードボールの末脚、ヴェルテンベルクのスタミナが生きてくる。

日本勢にとっては極端なスローペースよりも、ある程度流れて各馬が実力を出し切れる展開の方が望ましい。

馬場状態によって評価は大きく変わる

良馬場から速めの馬場

乾いた良馬場でスピードが生きる場合は、カランダガンとマスカレードボールが中心となる。

ベンヴェヌートチェッリーニも愛ダービーで乾いた馬場への適性を示しており、斤量差を考えれば怖い存在。ヴェルテンベルクはスタミナだけでなく、2400メートル前後の速い流れに対応できるかが課題になる。

時計のかかる馬場

多少時計がかかる程度であれば、欧州での経験が豊富なカランダガン、ゴリアット、カルパナが安定している。

マスカレードボールも父ドゥラメンテのパワーを考えれば対応する余地はあるが、日本や香港で見せた切れ味をそのまま発揮できるかは未知数だ。

重馬場級の道悪

本格的な道悪になれば、能力比較よりも馬場適性の比重が大きくなる。

コロネーションカップで崩れたカランダガンには不安が生まれ、ベイシティローラーなどパワー型の欧州勢が浮上。日本勢にとっても簡単な条件ではなく、波乱の可能性が高まる。

日本勢が勝つために必要な条件

マスカレードボールの場合

  • 極端な道悪にならないこと
  • 道中で力まず、アスコットの起伏を余力十分に通過すること
  • カランダガンより前の位置で直線を迎えること
  • 仕掛けを遅らせすぎず、坂の途中から加速できること

特に重要なのは位置取りだ。カランダガンと同じ位置から追い出して差し切るのは容易ではない。ジャパンカップでアタマ差まで迫った能力を生かすには、相手より半歩先に動く必要がある。

ヴェルテンベルクの場合

  • 前半から一定以上のペースで流れること
  • 瞬発力ではなく持続力を問われる展開になること
  • 早めに進出し、後方の有力馬に脚を使わせること
  • 直線入口までスタミナを温存できること

後方でカランダガンやマスカレードボールと末脚勝負をしても分が悪い。天皇賞(春)で見せた持久力を生かし、早めにレースを動かすことが好走への条件となる。

現時点での有力馬評価

  1. カランダガン:前年覇者で、良馬場の瞬発力とコース実績は最上位
  2. マスカレードボール:ジャパンカップの内容から能力差は小さく、良馬場なら逆転候補
  3. ベンヴェヌートチェッリーニ:愛ダービー馬の成長力と3歳馬の斤量恩恵が魅力
  4. カルパナ:アスコット適性に加え、ディープインパクトの孫という血統背景にも注目
  5. ミニーホーク:距離延長と牝馬の斤量差で上位進出が可能

ゴリアットは過去のコース実績、ベイシティローラーは馬場が悪化した場合に評価を上げたい。

ヴェルテンベルクは総合的なスピード比較では劣勢だが、流れが厳しくなれば順位以上に怖い存在となる。

まとめ|日本馬初制覇へ、マスカレードボールが世界王者に再挑戦

2026年のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスステークスは、前年覇者カランダガンを中心としながらも、3歳馬、牝馬、歴代優勝馬、日本調教馬が揃う非常に見応えのある一戦となりそうだ。

現時点では、アスコット実績と近走内容からカランダガンが最も勝利に近い。しかし、ジャパンカップでアタマ差まで迫ったマスカレードボールとの能力差は決して大きくない。

東京ではカランダガンが日本の馬場に対応して勝利した。今度はマスカレードボールが、欧州王道路線の舞台で相手の土俵に乗り込む。

良馬場で持ち前の瞬発力を発揮し、カランダガンより一歩早く抜け出せれば、日本調教馬として初めてキングジョージのタイトルを手にする可能性は十分にある。

ヴェルテンベルクも、天皇賞(春)で見せた末脚とスタミナを再現できれば、人気以上の走りが期待できる。

さらに、日本調教馬ではないものの、ディープインパクトの孫にあたるカルパナも日本の競馬ファンにとって見逃せない存在だ。世界的に広がったディープインパクトの血が、アスコットの大舞台で再び存在感を示す可能性がある。

日本調教馬の過去最高着順は、2006年ハーツクライの3着。あれから20年、日本馬が再びアスコットの頂点へ挑む。

カランダガンとマスカレードボールの再戦だけでなく、日本競馬が欧州最高峰の舞台でどこまで通用するのか。その答えが示される、歴史的な一戦となりそうだ。

※本記事は2026年7月22日時点の登録状況、近走成績および現地情報を基に作成しています。最終的な出走馬、枠順、騎手、馬場状態については主催者およびJRAの発表をご確認ください。

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